2003年11月にNHK「計るだけダイエット」という興味深いダイエットが放送されました。

東京都杉並区の住人100人が参加し、3週間で100人中83人が、平均1.2Kgの減量に成功しました。成功率83%を誇るダイエット法です。

計るだけダイエットのルールは簡単で、100g精度の体重計を用いることと、次のルールを守ることだけです。運動も食事制限もありません。

・体重を朝夕の2回測ります。
・一目盛100グラムのグラフに折れ線グラフを描いていきます。
・体重が上がったら、言いわけを書き込みます。
・目標は1日50~100グラム減らすこと。


ダイエット7


★みつけた! ダイエットに成功する本当の理由

ダイエット7

この実験で減量できなかった人が17人いましたが、その人たちはルールどおりに運動なし食事制限なしで、ただグラフをつけただけの人たちでした。
成功した83人は、全員が体重グラフに興味を持ちました。

100g精度の体重計では、お茶を飲んでもトイレに行っても体重が変わるので興味が湧きます。
トイレの前に体重計を置いて、1日中体重を計ったり、それまで自転車でしていた出前を歩いてすることにした蕎麦屋さんや、ご近所の奥さんと一緒にウォーキングを始めた人たちなど、体重グラフに興味を持った人たちは、皆んなが楽しそうに何かを始めました。


NHKはつぎのように説明しています。人は自己保存のためにカロリーの高い食べものを欲求する本能がDNAに刻み込まれています。
たとえば、脂肪分を摂ると脳内にβエンドルフィンが流れ、甘いものを食べると脳内にセロトニンが流れます。この2つは快感物質で、脳に快感を与えるので、甘いものや高カロリーの食べ物に執着します。
この快感物質こそが人類保存のための仕組みであり、人類肥満の元でもあるのです。
この快感物質に打ち克って食事制限や運動をするどうすればよいでしょうか?それは、何か別の快感で置き換えることが必要なのです。


・グラフが右下がりになるときの快感
・きれいな服が着られるようになれるかもしれない期待と快感
・人から褒められる快感
・健康になっていく快感
・工夫をしてみてグラフが良くなる快感


などの快感です。いろいろ工夫してみることこそがダイエットを長持ちさせ、成功させるヒケツなのです。

NHK 計るだけダイエットの特長は、夕食後に体重を測ることと、メモ欄に言い訳を記入することです。
この2つは非常に大切です。夕食後に体重を測ると翌朝の体重の予測がつくので、夕食後はつまみ食いに強い抑制力がかかります。

もう1つは、メモ欄に記録をつけることで分析的になり、工夫をはじめるきっかけになることです。


NHK計るだけダイエット 2回目の放送

ダイエット7

最初の放送の1年後に、NHKためしてガッテンのスタッフが東京杉並区の人たちを調べたら、ダイエットを続けていた人はたった3人だけでした。

1人はスポーツジムに通い始めた人と、もう1人はジョギングを始めた人でした。

NHK計るだけダイエットは、ダイエットに関心を持つための導入部としてはたいへん優れていますが、グラフの右肩下がりはいつまでも続かないので、下げ止まるまで間に、何か次のダイエットを工夫をしないと、東京杉並区の人たちのように殆んどの人が止めてしまうことになります。