運動で脂肪を燃やす

人体には、膨大な量の脂肪が貯蔵されています。
体重が50Kgで体脂肪率が20%の人なら10Kgの脂肪が貯蔵されています。


ダイエット7


次のような場面を想像してみてください。
燃料タンクに脂肪が10Kgも貯蔵されていて、蛇口からは脂肪がちょろちょろと流れ出ています。
この蛇口から流れ出る脂肪は、基礎代謝と日常生活の消費カロリーで使われています。
しかし、私たちは消費カロリー以上に食べるので、脂肪が次第に貯まってきます。
この貯まった脂肪を減らすにはどうすれば良いでしょうか?


燃料タンクの脂肪をもっと減らすには、タンクのふたを開けて上から脂肪を汲み出せば良いのです。それが運動です。
ただし、ふたを開けて脂肪をくみ出すには、有酸素運動でなければなりません。
無酸素運動のエネルギーはグリコーゲンです。グリコーゲンは別の燃料タンクにあるので、無酸素運動では脂肪のタンクは減りません。


消費カロリーと摂取カロリーが同じであれば、どんな運動をしても、24時間の脂肪の消費量は同じになるという研究結果がいくつか出ています。
しかし、摂取カロリーが同じであれば、脂肪の消費量は同じになるのは当然です。
たとえば、速く走れば時間当たりの消費カロリーが大きくなりますが、走行時間が短くなります。
遅く走れば時間当たりの消費カロリーは小さくなりますが、走行時間が長くなるので、結局は消費カロリーが増えます。
同じ距離であれば、速く走ってもゆっくり走っても消費カロリーはほぼ同じです。

距離が同じであれば、消費カロリーは同じですが、速く走ると主にグリコーゲンが燃え、ゆっくり走ると主に脂肪が燃えます。


速く走る場合とゆっくり走る場合では、エネルギー源が異なるのです。

脂肪は体内に豊富に貯蔵されているので、いくら消費してもお腹がすきません。
グリコーゲンは体内に400gしか貯蔵されていないので、消費したら、直ちに補充しなければなりません。

グリコーゲンを使うと腹がすくのです。グリコーゲンを使う運動ほど摂取カロリーが増えるのです。
一方、有酸素運動は主に脂肪を消費するので、摂取カロリーが増えないのです。


繰り返すと、人体には脂肪が貯まりすぎていて、日常の消費カロリーだけでは貯まる一方です。
運動で脂肪を余分に消費したいのですが、運動をすると、食欲が増して摂取カロリーが増します。
なるべく脂肪がよく燃えて、摂取カロリーが増えない運動はどんな運動でしょうか?ダイエットで問われている運動はそのような運動です。


脂肪ではグリコーゲンの補充ができない

摂取カロリーが増えない運動はどんな運動でしょうかという問いに対して、消費カロリーと摂取カロリーが同じであれば、脂肪の消費量は同じというのは、見当はずれで、答えになっていません。

なるべく摂取カロリーが増えない運動はどんな運動でしょうか?
ハードな筋トレをすると、EPOCが長く続きますが、EPOCは必ずしも脂肪を消費しているわけではありません。
無酸素運動でも有酸素運動でも、カロリー欠損があれば脂肪で補われるのだから同じと答える人がいますが、脂肪からグリコーゲンを作ることが出来ませんから、無酸素運動で消費したグリコーゲンを脂肪で補充することはできないのです。

出来るだけ消費カロリーが大きくて、摂取カロリーを減らせる運動はどんな運動でしょうか?
それは昔から研究されてきたように最大酸素摂取量の60~75%の有酸素運動ではないでしょうか?
運動強度が最大酸素摂取量の75%以上になると、消費されるエネルギーの80%以上がグリコーゲンになります。

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上図は、最近の私の体重グラフです。
今年は3月からジョギングを始めました。7月までは順調に体脂肪率が低下しました。
8月26日の神鍋高原マラソンに向けて、マラソン大会の2ヶ月前からランニングスピードを上げたら、1ヶ月で3キロも体重が増えました。

ランニングスピードを上げると、摂取カロリーが増えます。


もしも、運動強度を上げても摂取カロリーが増えなければ、体重も体脂肪率ももっと下がり続けたはずです。
しかし、実際にはランニングスピードをあげると摂取カロリーが増えます。

ダイエットで食事制限と運動はくるまの両輪です。運動をして消費カロリーを増やすことも大切ですが、摂取カロリーを抑えることの方がもっと大切です。
脂肪の減少量がカロリー欠損にだけ比例するのだったら、マラソンやウルトラマラソンの省エネ走法など意味がなくなります。
少ないグリコーゲン消費で、できるだけ多くの脂肪を消費できる運動が、ダイエットに適した運動です。
どんな運動が良いのでしょうか? それが運動生理学が示すようが最大酸素摂取量の60~75%の強度の有酸素運動ではないでしょうか?