- 前ページ
- 次ページ
捨てるものに詰まった思い出。
身を軽くすることで潔くなった気でいる。
無くしたことをいつかきっと惜しむだろう。
だけど、今はまだ過去よりも未来を見つめているから。
前を向いている自分でいたいから。
強がっていられるうちはそうしているつもり。
さあ、新生活。
新しい風よ、かかってこい!
何気ないあなたの言葉が後からじわじわ効いてきます。
分かっています。あなたが深く考えてつぶやいていないことを。
あなたのちょっとした寂しさがこちらにまで伝染したころ、
あなたは何事もなかったかのようにけろっとしているんだわ。
振り回されたくないのに、気がついたらあなたの周りで
ぐるぐる回ってしまうのです。
そろそろあなたの側にいるのは止めて、気のむくところへ
旅立つつもりです。
宇宙は途方もなく広く、可能性に溢れているし、
あなたの側じゃ、私は変われないから。
私もいつかあなたのような恒星になれるかしら。
これで、最後になるでしょう。
大好きでした。
ありがとう。
君は決まった相手がいるくせに。
いたずらに優しいのも考えものだな。
好きな人にもらえない好意を、君の関心が癒してくれるのも事実で。
誰にでも優しい君に恋するのも考えもので。
すぐに勘違いしちゃうから、抱きしめたりしないで。
私はしばらく落ちこんでいたいのよ。
音楽聞いて泣きたいの。
君のことを考える余裕なんてないはずなのに。
困ったさんめ。
不毛な恋はもうたくさん。
君は気がついたらそばにいた。自然に。
私が近づこうとすると、一歩離れる。
私があきらめて、離れると、よってくる。
私はかけひきなんてできないよ?
君は何を観察しているの?
もしそれが作戦なら、成功だよ。だって、もう君のことしか考えられないもの。
もし単に私の勘違いなのなら、君をふりむかせるだけ。
もう一歩、近づいてよ。
定められたことだと片付ければ、あきらめもつくし簡単だ。
責任転嫁。
逃げ。
おまえは身体中をかきむしるほど悩んだか?
覚悟を持って選択したか?
真剣に生きるのはしんどい。
痛みを直視することも。
根拠のない定義に時にはすがりたくなる。
けれど、結局は全部自分に返る。
逃げ道こそ、茨道。
だからおまえは立ち向かえ!
僕が僕である要素は足かせでもある。
だから僕らはその枠内で歩むために、ぐるぐると螺旋を描いて昇っていく。
僕らが僕らであるための制約の中であがいてあがいて、前進する。
その軌跡は、僕が僕でなくなった時にもろくもくずれさる。
歩んできたこと、これから歩んでいくこと、それらはほんの一瞬の瞬き。
それでも僕らは螺旋の道を進むんだ。
いつかは空にとけると期待して。
どうしたの?
電話なんて珍しいなぁ。
都会が君に辛くあたるのかい?
俺も目下社会ってやつを考えてるところ。
でも悲観はしてないぜ。
10年後の未来には希望を見い出せないが。
なんて、先走りだったかな。
結婚報告だったり?
とりあえず、君が元気でやってればいいさ。
がんばれよ。
夜に妖しく咲き誇る無数の花びら。
圧倒的に美しい桜の前で私は立ちすくむ。
浮世離れたその姿をたよりなく見上げると、
枝の隙間から同じくたよりなげなおぼろ月夜と目が合った。
不完全な丸みを帯びた姿はどこかあたたかく、
何者でもない私に優しく笑いかけていた。
思わず涙がにじむ。
私は少しほほえんで、その場でくるりと回る。
世界は私と月を中心に回っていく。
美しい桜も夜の静寂もひきつれて。
うん。私はまだ大丈夫。
きっと大丈夫。