国内外の主に乗用ディーゼル車に関する話題を読み取り、
日本での将来的な普及の可能性を模索。
ときどき商用車のニュースにも触れたいと思います。
車のIT化が招いたデルファイ破綻
Nikkei IT Plusより
当然の流れといえばそれまでだが、
それで破綻企業がいくつも出てしまうのは少し怖い。
米部品最大手のデルファイが米連邦破産法11条の適用を申請するに
至った背景には、自動車部品の高度化、IT化がある。(略)
自動車のエレクトロニクス化は、部品調達の枠組みをがらりと変え始めた・・・
つづきはこちら 。
ふそう・DC 次世代駆動系共通化へ
11/22 フジサンケイビジネスアイより抜粋
三菱ふそうトラック・バスは
親会社のダイムラークライスラー商用車部門に
「ふそうエンジニアリングオフィス」を開設。
ふそうの技術者が常駐しDCが開発する次世代大型エンジンを含む
駆動機構の開発に協力する。
将来的には大型トラックのパワートレインを
DCとふそうで共通化することも視野に入れている。
道路事情は世界各地域で異なることから
パワートレイン開発は販売地域別の設計が必要となる。
DCが開発する大型トラック用の
次世代パワートレインはふそうも採用予定。
日本やアジアの道路事情にあう設計提案や技術協力を行う。
DC商用車部門とふそうは、電気モーターとエンジンを
併用して走行するハイブリッド商用車の研究開発拠点を
喜連川研究所に集約する方針で、ディーゼルエンジンの
大型トラック分野に技術協力を拡大する。
トラック各社 軽油高騰で燃費競う
11/16 日刊工業新聞より
05年10月の新長期排出ガス規制スタートを受け、
トラック各社から規制対応の大型トラックが出揃う。
この規制は現行規制では世界で最も厳しい規制とされる。
各社とも窒素酸化物や粒子状物質の低減に取り組んでいるが、
実は業界で最も注目されているのは燃費性能だ。
トレードオフの関係にある排出ガス規制対応と低燃費の両立に
各社とも迫られている。現在唯一大型トラックで新長期規制に
対応している日産ディーゼルの「クオン」は
業界で初めて尿素SCR(選択還元型NOx触媒)を採用したが、
最大のアピールポイントは燃費のよさだ。
同社の試算ではNOxを低減するために排ガス再循環装置(EGR)で
燃焼温度を強制的に下げる。
他社の新短期規制対応車よりも燃費が10%以上向上、
さらにこの方式で新長期に対応した場合と比べて15%近く上回るという。
尿素SCR方式は尿素水の補充が必要というデメリットが指摘される。
だが燃料費の増大が運送業者の経営を圧迫しているだけに、
燃費改善はこのデメリットを補って余りある。
従来方式を推進する日野自動車やいすゞ自動車も
燃費性能を強調する姿勢に変わりはない。
いすゞは新長期規制対応を機に、大型トラックへ搭載するエンジンの
小型化に踏み切る。排気量を落としながら高いトルクを実現。
小排気量化によって、より厳しい規制に対応しながら燃費も改善する
という難題に取り組んだ。
日野は06年2月に大型トラック「プロフィア」の新長期規制対応車の
発売を予定。尿素SCR式と同等の燃費水準の実現を狙う。
新長期規制の対応方式として尿素SCRを推進するメーカーには
三菱ふそうトラック・バスが加わり、従来方式の日野、いすゞと業界を二分。
各々メリット・デメリットがあるが、燃費性能が大きな要素となるのは間違いない。
Home Energy Station III 実験稼動
家庭用水素供給システム「Home Energy Station III」の
実験稼動を開始
ホンダHPより>
Honda R&D Americasは、プラグパワー社と共同で開発している
水素燃料供給とコージェネレーション機能をあわせ持つ「ホーム・エネルギー・ステーション」の
第3世代モデル、「Home Energy Station III」の実験稼働をカリフォルニア州トーランスで開始した。
Hondaは、将来ガソリンなどにかわる燃料の研究の一環として、
天然ガスから水素を製造し、燃料電池車に水素を供給するとともに、
家庭に熱と電力を供給するHome Energy Stationの研究を続けている。
第一世代の「Home Energy Station I」は2003年10月に実験開始、
第二世代の「Home Energy Station II」は2004年11月に実験を開始し、
実証試験を進めてきた。今回の「Home Energy Station III」は、
これらの実験で得られた結果を反映し、一般家庭で必要な
電力量、燃料電池車用の水素量に適した性能向上、コンパクト化や高効率化を実現した。
ディーゼル空白地 日本に挑む
11/15 日刊工業新聞より
ダイムラークライスラー(DC)が「壮大なる実験」に乗り出す。
日本でほとんど市場性が失われたディーゼル乗用車を
再度普及させようとする試みだ。同社は06年中に
クリーンディーゼル乗用車を日本市場に投入することを決定、
”ディーゼル空白地”に挑む。
「ポテンシャルは十分ある」(トヨタ:渡辺社長)ものの市場なき日本で
なぜDCはディーゼル車を再投入するのか。DCの深慮遠謀が見て取れる。
予想以上の反響
「06年にEクラスのセダンやワゴンでディーゼル乗用車を投入する」。
10月19日、DCの次期社長に内定しているディーター・ツェッツェ氏は宣言した。
02年に打ち切ったディーゼル乗用車をDCが再び日本市場に投入するという
ニュースを受け、全国のディーゼルファンは活気づいた。連日モーターショーの
DCブースにはディーゼル車に関する質問が殺到。慌てたDCは急遽、
商用車部門の担当者にも応援を求めたほどだ。
「予想以上の反響があった」(DC技術コンプライアンス:根来次長)と
早くも手ごたえを感じている。
将来の切り札
90年代のRVブームを背景に、日本市場でもディーゼル乗用車は普及、
ピークの95年の保有台数比率は約11%まで上昇した。
しかし相次ぐ排ガス規制の前に市場規模は急速に縮小。
現在は新車におけるディーゼル販売比率はわずか0.1%。
欧州の「50%」という数字とは比較すらできないレベルだ。
DCはなぜ「ディーゼル後進国・日本」に挑むのか。
それはDCが目指す次世代環境対応技術を日本市場でも具現化し、
将来の販売増に向けた布石を打つためだ。
燃料電池車の将来像が明確でない現在、次世代の環境対応車として
注目されているのがディーゼルハイブリッド車。
「燃費の観点ではディーゼルハイブリッドが将来の有効な切り札」といわれている。
「ブルーテック」と呼ばれる尿素を利用して窒素酸化物を抑制する技術を
推進するDCにとって、ディーゼルとハイブリッドは「次世代の環境対応における技術の両輪」。
とくにディーゼル技術に関しては日本メーカーに対し絶対的な自信を持つ。
下地づくり
ここで問題がある。いくら高い技術力を誇ってもディーゼル乗用車がある程度
普及していないと、DCが目指すディーゼルハイブリッドの実現が難しくなるのだ。
「ディーゼルの印象が悪く、ハイブリッド偏重の日本では
顧客からディーゼルハイブリッドが敬遠される懸念がある」。
片肺飛行では市場全体が拡大せず、今からどうしてもディーゼルの素地を
形成する必要がある。ディーゼル車投入につながった理由はここにある。
トヨタが高級ブランド「レクサス」を導入したことに対し、DCのディーゼル投入は
「対抗策」との指摘もあるが、日本市場ではDC単独ではディーゼル車は普及しない。
日本メーカーが動いて初めて市場が形成される。目指すべき道は一緒、と
局地戦ではなく、全体最適の中でディーゼル普及を夢見ている。
DC 三菱株売却
自動車業界再編の動きが新たに?
資本提携を解消したことによって、DC社は
自らの主力部門のメルセデス乗用車部門の建て直しにとりかかる模様。
これを受けての三菱自動車のリリース 。
「後ろ盾失う」(産経新聞) 「”冷めた関係”に区切り」(日経新聞)など
厳しいタイトルが各紙を飾っていますが、
三菱自側は経営再建に向けた戦略での独自色を強めると同時に、
新たな提携先候補も必ず近い将来出てくるはずで
しばらくは目が離せない状況です。
DCはディーゼル乗用車部門でも世界No1といっていい牽引パワーを持ち、
来年から日本での投入も先日示唆したばかり。
欧州ではコルトで善戦する三菱、国内はアウトランダーのローンチ以降の
展開が注目されるところです。
がんばれ三菱。
車で行く癒しの旅
面白いコンセプトの特集を発見。
WEBCG「自動車生活の友」 。
目的地が温泉やリゾート地で癒し・・・というありきたりなモノではなく、
みうらじゅんさんの話をもとに仏像巡り、というのが楽しい。
エコロジカルでエモーショナルでスピリチュアル?
サトウキビエタノール輸入へ
11/10 日刊工業新聞より抜粋
サトウキビエタノール輸入へ、ブラジルで専門家会合
ブラジルからサトウキビを原料とした燃料用エタノールを日本へ輸入する
ための初の官民合同の専門家ミッションがブラジルを訪れ、
関係機関・企業と具体策を協議。
ブラジルは世界最大のバイオマスエタノール生産国で、燃料用エタノールの
対日輸出に強い興味を示している。ミッションにはMETIをヘッドに関係する
省庁と石油・自動車・商社等のメンバーが参加、08年以降の導入を検討。
(略)
バイオエタノールは国が温暖化対策で2010年までにバイオディーゼルと
あわせて年50万キロリットルを導入する計画。国内では地産地消プロジェクト
として実用化に動きつつある。
ブラジル訪問ではエタノール燃料で排ガスの窒素酸化物が増える問題や、
対日輸出での関税問題、安定供給でのインフラ整備などを協議する。
世界のエタノール需要は04年で4100万キロリットル。
ブラジルは現在サトウキビから1580万キロリットルを生産しており、
すぐに200-400万キロリットルの増産が可能。
いすゞ自動車の研究
11/9 日刊工業新聞より抜粋
欧州ではディーゼル車が環境に優しいと脚光を浴び、
乗用車台数の半分を占める。VWやBMW、ベンツ、プジョーという
有力メーカーがディーゼル乗用車を投入し、日系メーカーの
出遅れ感が否めない。しかし04年、欧州で最新の排出ガス規制
「ユーロ4」にいち早く対応したのは日本企業だった。
GMグループ内、オペル「アストラ」用ユーロ4対応エンジンの
開発をいすゞ開発陣が担当したのである。
トラックメーカーのいすゞはディーゼルエンジンメーカーとしての
顔も併せ持つ。小型から大型まで総合的に生産する、
世界でも数少ないメーカーとして自社製品だけでなく
GMグループ、サーブ、ルノーにもエンジンを供給。
最近までホンダの欧州向け「シビック」にも搭載されていた。
欧州ディーゼル乗用車市場の隠れたメインプレーヤーである。
GMグループのディーゼル専門家としての基盤を固めたのは
経営危機に苦しみ乗用車生産から撤退したころから。
GMの大型ピックアップトラックへのエンジン供給開始が96年。
世界最大手でありながら米国の大型ピックアップ市場では
1%のシェアに甘んじていたGMが、いすゞの実力に目をつけた。
いすゞは97年にポーランドにISPOL、98年には米国にDMAX
というディーゼルエンジン生産会社を設立。
04年ISPOLでは累計100万基、DMAXでは同50万基の生産を達成。
いすゞ性エンジンを搭載するGMの大型ピックアップは25%シェアを握る。
ディーゼル車とともに、GMグループでのいすゞの存在感は高まっている。
いすゞ自動車 特集:1
11/9 フジサンケイビジネスアイ 「明日への布石」より
05年10月に施行された新長期排ガス規制で定められたPMの排出量は、
世界で最も厳しいとされる排ガスの排出基準で、従来の03年:新短期規制
に比べPMを1/3へ、NOxを40%削減することが求められている。
新型車が対象となり、継続生産車も07年9月1日までに適合しなければ
メーカーは販売できない。故にパワーとレイン系の性能向上は
重要な経営課題だ。ディーゼルエンジンに求められる高度な燃料技術は、
燃料をエンジンルームに噴射するタイミングに関しての制御面である。
この部分は環境対策を進める上での命綱であり、メーカーは外部の
大手部品メーカーに開発を委託するのが一般的である。
しかしいすゞは燃料噴射に関する技術の独自開発を決断。
企業体としての再建を軌道にのせるには自社制御技術の開発が
急務となった中、02年発売の小型トラック「エルフKR」
(03年排ガス規制先取り)などでV字回復の兆しをつかんだ。
また独自の燃料噴射制御ソフトを開発。1/1000秒単位の
燃料噴射技術をはじめ、エンジン全体を精密にコントロールすることが
可能で、商品の開発体制も大幅に短縮された。
新長期規制に対応した中型トラック「フォワード」に搭載された
4HK1型エンジンでも制御技術はいかされている。
09年以降もさらに厳しい排ガス規制が適用される。ガソリン車並みの
排ガス性能を求める内容で、NOxは新長期規制に対し40-65%減、
PM排出量は事実上の0が義務付けられる。