翌日
「非常に急ですが、木本さんは加食から2階の雑貨に異動になりました。理由は体力的に厳しいと言ってました。人の補充は現時点では決まっていません。また追って連絡します。よろしくお願いします。」
大主任は朝礼で木本さんの異動を告げた。
「あの人まだ40代よね!?何なの!?」
「大した事させてないし、大ちゃんが殆どやってたじゃない!!」
「まあでも慣れる前にわかって良かったわよ」
おばちゃん達は不満を爆発させていた。
その日の帰り
「木本さんは本当に体力的に厳しいと言って異動したんですか?」
私は何となく気になって大主任に疑問をぶつけた。
「あんな感じやから本人が体力的に厳しいって言うたんはホンマ。
それに本人はチェッカーだけだと思い込んでて話が違うっても言うてた。
ただ雑貨の時、持ち場を離れる事も多々あって急に休んだりもするし、雑貨の責任者が彼を異動させると言って他の部署は全部受け入れ拒否したから仕事を教えて環境が変わればちゃんとしてくれるんちゃうか思って受け入れたけど…こんな結果やったな。」
大主任はそう言って苦笑する。
「私は前職がブラック企業だったのでああいう人を沢山見てきましたがまだ良い方ですよ。
大概丸一日実際に働いてみて話が違うだのなんだの文句言って翌日から連絡もなしに永遠に来なくなるパターンが多いんですよ。」
てか大主任の力量以前の問題だし!!
本人の問題だし!!
「へーっそうなんや。話には聞いとったけど」
「私が経験したのは3日、知り合いの人の店は2時間だったそうです。」
「2時間!?」
「はい。たまにいるそうです。「働きたい」と言って遊びに来る人が。
他のパートさんが言われていたように早めにわかって良かったと私は思います。」
「せやな。まあ俺らは目の前の仕事をするまでやね。」
「そうですね。」
数日後
木本さんの代わりの補充はなかったが、出荷を手伝う留学生を数人上げるようになり、出荷が捗るようになった。