ピッキングは通常出荷の他に特別発注がある。皆は略して特発と呼んでいる。
例えるならお菓子の部署で言うバレンタインデー、ホワイトデー、ハロウィン、クリスマス。
お酒の部署で言うボジョレヌーボーのように主に行事だったりの期間限定商品の発注だ。
私達、加工食品の部署では5月の新茶、1月の鏡餅がある。
今日はその鏡餅の特発だ。
去年はひたすらオリコンを出す係だったが、取るのは初めてだ。
干支の可愛いマスコットつきの鏡餅や○トウの鏡餅大中小等10種類位ある鏡餅を4人で取り、オリコンを流す係、パレットに商品が入ったオリコンを積んで下に下ろす係で通常出荷後特発のピッキングに取り掛かる。
メンバーは大主任、うちの部署の社員、私、他の部署の社員4人。
通常出荷もミスがないようにと必死で取ってるのに特発大丈夫なのかしら?と緊張していた。
「高原さん、大丈夫?いつも通り取ったらええし、不安やったら何回でも確認してええし、時間もかかって全然大丈夫やから。まあもし間違ったとしても俺がすぐ見つけたるから」
準備をしていたら大主任が声をかけてくれた。
私の気持ちを見透かしたような言葉にドキッとしたが、少し気が楽になった。
「安藤さーん準備終わりました。」
「はい。高原さんもいける?」
「はい。大丈夫です。」
「もしおかしい事あったり、わからんくなったら遠慮なく声かけてな。」
「はい。かしこまりました!!」
他の部署の社員の人が声をかけてきて、大主任は再度私に声をかけてくれる。
私は少し緊張しながらも力強く頷いた。
当然社員の人達はピッキングが早い。
でも追い立てられる感じもなく、最後になったからって睨まれる事もないから焦らず自分のペースで商品を取れる。
それにバラの角餅を取ってる人も居るから遅くなってもそこまで気にならない。
それに10アイテム位だし、ないところはないから次へ次へと進んでいく。
1便が終わると2便に入る前に数を確認してすぐに2便が始まる。
そうこうしてる内にトータル1時間位でピッキングは終わった。
「お疲れ様でした〜ありがとうございます!!」
その後は空になったカートやダンボールゴミを片付ける。
「高原さん、お疲れ〜初めてやったけどちゃんとできたなぁ」
「はい。心臓がバクバクいってました。ミスなく終われてホッとしてます。」
ダンボールを片づけてると大主任が笑顔で声をかけてきてくれる。
褒めて貰って嬉しいのと大主任につられたので笑顔になる。
「しかもそんなに時間押さんかったし、明日も大変やけどよろしくな。」
「はい!!明日も頑張ります!!」
信頼して任せてくれるって嬉しい!!
明日も頑張ろう!!
翌日も滞りなく特発は終わった。