第三話 「あの日の約束」
なぜ海王星が?しかしこれが海王星とは限らない。とはいえ惑星がワープアウトしてくる時点で意味不明だ。
タキオン 「オエェェェ」
なにか解るかもしれないのでなんとなくのどちんこを触ってみるが、出てくるのは胃液と吐き気だけ。
副官 「当たり前だー!!何してんですか!艦長!!」
タキオン 「なら君はどうしろというんだ!」
副官「だからってのどチンコ触ってどうするんですか!」
トルネード 「ヒャッホーゥ」
と言いつつうどんで作ったロープで投げ縄をしているトルネード。
副官 「ちょっと!何するんですか!」
トルネード 「むむ!貴様!俺の投げ縄をいともたやすくちぎるとわ!さては貴様も宇宙怪獣か!」
副官 「どうしたんですか!ホントに!なんかおかしなものでも食べたんですか!?あんたら!」
タキオン 「食べたのはヒヨコサブレだ。」
副官 「ヒヨコ・・・?」
タキオン 「いいから起きろ。」
副官 「え?起きてますよ!それよりヒヨコってなんですか!?」
オペレーターA「浣腸でもすりゃ起きるんじゃないですか?」
トルネード 「誰がそれをするんだ。」
副官 「はわわわ!!浣腸はやめて!てかひよこってなんなのさ!」
タキオン 「やっと起きたな。」
トルネード 「ヒヨコって何だ?」
副官 「はわわ・・・夢だったか・・・。」
オペレーターB「よっぽど怖い夢を見たんですね。」
タキオン 「ひょっとしたら私達が死ぬ夢でも見たんですか?」
副官 「ふぅ・・・大体そんな感じのないようです。」
トルネード 「なんて情けない副長だ。」
タキオン 「しかたないさ。早く持ち場に戻ってくれ。」
仕方ないって言うのはどういう意味だろうか・・・そう考えながら自分の持ち場に戻る副長。
副官 「あ、そういえばあの海王星は?」
オペレーターB「あれなら宇宙怪獣たちを連れてどこかへ行きました。」
副官 「そうか・・・じゃ助かったんだな。」
トルネード 「本当にそう思うか?」
副官 「どういう意味・・・ですか?」
タキオン 「俺たちは助けられたんじゃなく・・・見逃されたんだと思うんだ。」
タキオンが言いたいことはなんとなく分かる。過去にセントサイモン教導団が作った最強の生体機動兵器が海王星に寄生し、太陽系を破滅の危機に追い込んだことがあった。
なんとかその脅威から免れた人類だったが、それが再びここにあるということは、ここが地球から10万光年離れた場所であろうと、間違いなく地球を目指すことは火を見るより明らかだ。
タキオン 「そこでお前にその検証をしてもらおうと思ってな。」
副官 「了解しました。」
しかし不可解なのは、なぜ海王星はがキーストン部隊を見逃したのか。そして宇宙怪獣と協力しているのか。
宇宙怪獣に戦略級の知能が備わっていることは既に検証済みではあるが、人が作ったものを利用しようとするのはいくらなんでも考えられない。
単体では突撃しか頭にない生き物が・・・だ。
しかし、それは認めるしかない事実なのかもしれない。いくら検証しても、アレは海王星で、目的地は・・・地球だった。
だが副官の頭の中には一つの仮説が立っていた。しかしそれは誰にっても信じてもらえるような話ではない。いや、自分だってこんな推測をしているって言うことを理解できない。
なぜこんなことを思うのだろうか。おかしくなってしまったのだろうか。
だが、実際自分に何かが起きているという自覚はある。
いつからだろうか。この船に乗ってからか?宇宙に出てからか?
・・・・・・・・・タキオンに出会ってからだろうか・・・。
第3話 「あの日の約束」 http://stmc.len.jp/
第二話 「海王星」
そして光から程遠いところからボロボロに大破した艦「キーストン」は出現した。
激震する艦内で、タキオンは現状把握に努める。
しかし空間を歪めるほどのエネルギーで放出されたキーストンのレーダーはすべて反応を示さない。
程なくレーダーは回復し、トルネードの期待に答えるかのようにその姿を現した。
トルネードを含め、クルーのほとんどが絶望的な現状に心の糸が切れかけている。アンドロメダから地球連合艦隊のしんがりとして戦ってきたが、確かに苦しい状況もあったが、そのつど乗り越えてきた。
しかし今回の敵は数が多すぎる。銀河方面軍第七師団に匹敵するほどの大部隊をたった一艦で戦おうなどいくらなんでも無謀以外の何者でもない。
唇を噛みながらモニターを眺めるタキオン。だがそんな状況でもただ一人、彼のその目にはまだ火がともっている。
オペレーターの報告に意を決したタキオンは改めて指示を出す。
ツインターボ級を振り払い、指定された座標に向かうヴェルフェゴール。その軌道上に向かい、キーストンは宇宙怪獣軍に向け、ブースターを全開させる。
タキオンの勝利の雄たけびと同時にキーストンの後方に黒い闇が広がり、たちまちそれは半径2キロに及ぶ球状に広がった。その空間を透過した宇宙怪獣はたちまちその体を粉砕した。
しかし、ツインターボ級6体が難を逃れたが、キーストンを素通りし、そのままヴェルフェゴールへと向かって行った。
その時、突然レーダーは全く反応を失った。
やられた!!くそ・・・俺とした事が見誤ったか!!
タキオンは心の中で悔いたが、その様を見られぬよう他のクルーにすばやく次の指示を出した。
もはやキーストンに戦闘装備は残されていない。だが
「なんだって!?」
そして遂にワープ反応範囲が徐々に光り出し、まるで日食で欠けた光が戻るかのような幻想的な光景である。
そしてその扉から現れたのは・・・
第二話 「海王星」 http://stmc.len.jp ここなら音楽つきで読めます。館長の過去を綴った第一章、第二章もお見逃しなく!!
第一話 「宇宙怪獣」
見る見るうちに増えた宇宙怪獣たちに取り囲まれた現状に、副官は叫んだ。
そんな状況にも眉ひとつ動かさず、むしろ楽しんでいるような男がいた。その装いから技術仕官のように見て取れるが、たたき上げの軍人も顔負けの貫禄がある。
宇宙怪獣の突然の襲来に騒然とするブリッジ。そこへ佐官クラスの制服を着た青年が入ってくると空気がより引き締まる様子だ。詰めた襟には大きな勲章が貼付されている。そして胸には戦艦キーストン艦長の証が見て取れる。
そう聞くとオペレーターの一人が答える。
もう一人のオペレーターがレーダーを見たまま振り向くことなく冷静に付け足した。
艦長と呼ばれた男は腕を組み、レーダーから目を離し、宇宙怪獣群が映るモニターを見据えたまま答えた。
「しかしその前に撃沈される恐れもあると思うが?」
その艦長に対して注意を促すような発言ではあるが、表情を見る限り、試すようなニュアンスが感じられる。
特に誇るわけでもなく、さも当たり前のように答えるタキオン。それを聞いてうれしそうに俯く。
トルネードと呼ばれた男はよほど彼を信頼しているのかこの状況でもまるで動じない。すでに艦の下弦部は原形を留めてはいない上、敵宇宙怪獣もその勢いがとどまる事を知らない。
たまらずタキオンに撤退を要請する副官。
「艦長!!自沈させる気ですか!!」
そのとき、オペレーターの一人がレーダーに映った遠くの敵影を見つけて叫んだ。
ヤぜール級、そう予測を立てたトルネードの発言に対してタキオンは言葉を返した。
タキオンの一言を受けてオペレーターはすぐに格納庫へ通信を入れる。
「ええ。だがまだ隠し玉がありそうだ。オペレーター各員はレーダーから目を離すなよ!」
そのとき、レーダーの変化を見てオペレーターが悲鳴に似た声で叫ぶ。
艦内全域にオペレーターの声が響くと同時に、緊張感とクルーのざわめきが聞こえる。
叫ぶタキオンを尻目に巨大な光を放ちながら発進するヴェルフェゴール。まるで虹のような光が走ると、その光に巻き込まれたキーストンはその宙域から姿を消した。
第一話 「宇宙怪獣」 http://stmc.len.jp/ ここなら音楽つきで読めます。