
¥907
Amazon.co.jp
戦争が終わって70年の今年。
またこの本を読みなおした。
平和への祈りを込めて一部を引用する。
p139より
当時小学校三年の田中清子は書いている。
「ひがいを受けたものはみな、似島へ行けということでした。
私たちもそこへ行くことにして、川から船に乗りました。
お母さんの座っている前に、私と同じくらいの女の子がいました。
その女の子は体中にやけどや、けがをしていて血がながれていました。
苦しそうに母親の名ばかりを呼んでいましたが、とつぜん私の母に、
『おばさんの子供、ここにいるの?』
と、たずねました。
その子供は、もう目が見えなくなっていたのです。
お母さんは、
『おりますよ』
と返事をしました。するとその子供は、
『おばさん、これおばさんの子供にあげて』
と言って、何かを出しました。それはおべんとうでした。
それは、その子供が朝学校へ出かけるとき、
その子供のお母さんがこしらえてあげたおべんとうでした。
お母さんがその子供に、
『あなた、自分で食べないの?』
と、聞くと、
『私、もうだめ。それをおばさんの子供に食べさせて』
と言ってくれました。しばらく川を下って、船が海へ出たとき、その子供は、
『おばさん、私の名前をいうから、もし私のお母さんにあったら、ここにおるといってね』
と言ったかと思うと、もう息を引き取って死んでしまいました」