つりぼり十番勝負≪HF編≫④ | human being

つりぼり十番勝負≪HF編≫④



『マスがいたから』byFIELD OF 池



抑えきかない想いや

マスが跳ねたり バラしたりする事は

生きてる証拠だね

逃げたい奴らには 逃げさせておけばいいさ

僕らは風に吹かれよう

ルアー合えば すべてが釣れる

投網はなくても

何度もくじけそうになって

ここまで来たんだ oh

今 僕らの釣果は 三桁になる

振りこめば いつも マスがいたから



週が開けて池に放流しても

釣果が上がらなくて 誰かを傷つけた…

そんな時 五平(ひと)が自分より偉く見えたよ

僕はちっぽけな三平(やつ)だった

まるでマスになったみたいに

自由にばたつくよ

何が正しい…何が間違っているのかなんて… oh

大漁(なかま)の中に居ても 孤独を感じていた…

(でも) 目を閉じると そこに マスがいたから

輝く放流(とき)の中で マスは

藍く染まるだろう

失うものは三平しかない竿さえあれば oh

この湖で 釣り続けるしかないのか…(ムリ)

ポンドの中に マスがいたなら







きっと彼にも分かっていたはずだった。


前日の自己新記録の更新した日と違っているのは。


その日の数日前に「トン単位」での大量放流が行われた事を知っていたのだから。


それでも彼は夢見ていた。


更なる記録更新とは行かずとも、大漁と言うべき数の釣果が出ることを。


しかし霧、風、そして魚達を含む厳しい自然が彼に微笑もうとはしなかった。


釣れない訳ではなかった。


困り果ててしまう事もなかった。


それでも彼に釣果があれば必ず、いいや、それよりも数回多く、隣の男にも釣果が出た。


男には余裕が滲んでいた。


「大物を狙う」と言って湖を一周したりした。


桟橋では男の大物のランディングを手伝う屈辱も受けた。



彼は焦った。



見るからにリトリープする手の動きが速くなってしまっていた。


昼食にと買っておいた「ランチパック(ピーナッツ味・グリコ味)」も一気に飲み込んだ。




でも彼には甘く感じられなかった。



苦かった。





「グリコ」なのに苦かった………。





                                             【つづく】