イきがみ③
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勿論俺も分かっている。
睡眠中に「予定時刻」を迎えても一向に構わないと。
しかしその場合藤本の残して言った「有意義」と言う事にはならないだろう。
俺は苦笑した。
先程たまたまここに来た何の繋がりもない人間の一言が気にかかった自分自
身に00000。
しかし億単位を超える俺の「子孫」をパンツの肥やしにしてしまうのは「有意義」
とかけ離れている。
『イきがみ』には特別措置がまだある。
「精子バンク」と病院での「検査」の優遇措置である。しかしながらその場合、
その施設の職員、医者、看護婦などの
「コイツ、相手いないんだ(笑)」
的な嘲笑の目にさらされる危険をはらんでいる。
やはり「パートナー」を探さなくてはならない。生きた「女体」に………これこ
そが「無駄にはしない」、「有意義」な、かつ「国家繁栄維持法」の存在意義な
んではなかろうか…。
俺は意思を固めた。
先ずは会社に電話をかける。部長への取り次ぎを願った。
「どうした?」
いつもと変わらぬ間宮部長の声。
「実は今日お休みを頂きたくて…」
「………調子わるいのか?」
俺は真実を伝えることにした。
「『イきがみ』が届きました。」
絶句したのか受話器の向こう側に静寂が広がる。
俺は言葉を繋いだ。
「よろしくお願い致します。ところで武田さんは出社していますか?」
間宮部長は全てを悟ったように
「………あ、ああ。代わろう。」
武田久美。入社2年目の新人だ。可愛いルックスに似合わず「ダイナマイト・ボ
ディ」の持ち主で部内のアイドル的存在だ。男子社員の間では「おっぱいちゃん」
の隠語で通っている。
「はい。お電話代わりました。」
俺は『イきがみ』をネタに彼女にお願いする事にした。
「『イきがみ』が届いちゃって………今夜空いていないかと思ってね。」
やはり絶句したのか、彼女の息遣いだけが受話器から聞える。
「………どうかな………空いて…………」
「無理っ!」
…………電話は切れた。
《…つづく》