つりぼり十番勝負≪「NT」編≫③ | human being

つりぼり十番勝負≪「NT」編≫③

つりぼり十番勝負≪「NT」編≫    




「鳴って」ます。



わたくしの脳内を駆けめぐるこの旋律。

川幅があまりないため上流から下流へと投げるダウンキャストを二人とも実行しています。
「パックン」(釣行後に飲みに行くも気がついたらビチョヌレのフローリングに横たわる自分。まず一番に下半身をまさぐりビチョヌレの原因が自分でないことを確認し、ほっと胸をなで下ろす40歳)こと「三平師匠」の上流にわたくし「五平」。「三平師匠」が何本上げたかまるわかりです。倍と言っても過言ではないような釣果です。まさに「大漁」。

ルアーのカラーチェンジで面白いほど上がります。一方の「三平師匠」はシブくなってしまったのかポイントを変えるべく上流のこちら側へ歩いてきます。いつもなら

「どう?調子は?」

などとかなり上からな言葉をかけてくるのですが今回は背面と言えど釣行の差はわかったのでしょう、腰を低く落とし、ヘコヘコと小走りに横を通り過ぎる「三ヘコヘコ」となっています。ここは激励をかねて声をかけてあげましょう!



「教えてやろうかっ!?えっ??」



「……いえ………結構です。」

可愛くない「三ヘコヘコ」!


その後上流へ釣り上がるもさらに川幅が細くなり、流れも激しく素人同然、長靴姿の二人にはどうにもならないと判断し、また釣り下りました。
その後もストリームでのわたくしの釣果は、絶好調。三平師匠はボチボチ。「中畑清」と「栄村」ほどの差が二人の間にはあるのでした。

濡れそぼリ、川に落っこちた猫のように身体を丸めしょぼしょぼとわたくしに近寄ってくる「三平師匠」ならぬ「三しょぼしょぼ」。


「あの~…ぽ、ぽぽぽぽ…」



猫じゃなくて「鼠」だったようです。



「何?」


「ぽ、ポンド…に…も、戻りませんか………?」


わたくしのあまりの「絶好調!中畑清」っぷりに恐れをなしてしまったのでしょう、「三ぽぽぽぽ」。得意のポンドへ戻りたいと懇願するのです。
わたくしは、器も、そしてけケツ…「アナ〇」の大きな人間です。ここはしょうがありません、付き合ってあげましょう。そして優しく声をかけてあげました。



「『お願いします』は?」



「お、……おね…お願いします。」


ポンドへと向かう道すがら、「三ぽぽぽぽ」はわたくしに聞いてくるのです。

「ど、どれくらいお釣りになられ………」

「39!」

「うわあぁぁ!つ、釣ったなあ!」

「で?師匠はよっ?」

「29…」

「えっ??何?」

「29…」

「何だって!?」

29ですぅ!…うう(泣)」




いける………。


今回は………いける。



残り約2時間………。

「釣りキチ・三平」タイトルは目の前…………。





                                       《つづく》