Stay Away | human being

Stay Away


human being


むかーし、むかし………からの知っているこの男、があるところに住んでいました。
この男、嘘をついてみんなを驚かせるのが大好きでした。まわりの人は毎回つかれる嘘にほとほと困り果てておりました。


呑みました。

いいえ。


いささか呑みすぎました。

男に誘われるがままにチェーン店の居酒屋へ行き、寒い懐を考えてつまみはほぼ頼まず、その分飲み物代へ回したことが吉と出たのか凶と出たのか。酩酊していました。
酒を呑んだら気が大きくなってしまうのは世の中の常。

「よし!もう一軒行っちゃう?」

男が提案しました。こちらも負けず劣らずお酒に呑まれていましたのでその誘いに乗りました。

次の店までの移動中新たな提案を男が始めました。

「男ばっかでさびしんぼう。誰か呼んで。」

うん、わかったとすぐ電話……するような女の子の友達が居るならここで男と呑んでいる訳ありません。女の子の友達などいないと言うと、

「よし!そんじゃ、声をかけよう。」

通り掛かりの女の子に声をかけてくれと頼み始めました。ええ。要するに「ナンパ」です。
じゃあいつものテクニックを披露しちゃうよん、チェケラッチョ………と出来ればここで男と呑んでいる訳ありません。そんなこと出来ないと言うと、

「おまえなら出来るっ!」

と根拠のないエールで励ましてくれました。


「いや、最初お前が声掛けてくれたら俺がその後話を広げるから…任しとけっ!

酔いからか、はたまた自信からか、その瞳は力強さを湛えていました。こちらも酔いが手伝ってか、なるようになれと、前から歩いてきたOLさんらしき女性2人に話しかけました。



「あ。こんばんわ~…」

お酒の力とは恐ろしい。見ず知らずの女性に話しかけてしまいました。女性2人は歩みを止めてこちらの話を聞いてくれるようです。

「いや、実はですね…今呑んでまして…」

「ええ、見れば解ります(笑)!」

なかなか優しいお嬢さん達で、邪険にする訳でもなく話してくれるじゃありませんか。何とか会話を……


「ですよね~!そこでですねご提案なんです!」

「え?(笑)何ですか?(笑)」


笑ってくれています。けして悪い感じではありません。男がなかなか入ってこないことが気にはなりましたが、余計な間を開けてはいけないとここは一気に…




「良かったら一杯いっちゃいませんか……というね…」

「あらら!ナンパですか!(笑)」


しかしながら本当に優しいお嬢さん達に声をかけました。冷たくされても当たり前のこの状況で、笑って話を聞いてくれるのですから。和やかに話をしています。が、なかなか男の援護射撃が来ないのが気にかかります。

「どうですか?ねえ?」


この優しきお嬢さん達の返答は「え~どうしようかな?(笑)」、、「いやあ、でも遠慮しときます(笑)」、「また今度(笑)」あたりが妥当、そしてその次の言葉をシュミレーションすべくフル回転する頭に信じられない言葉が飛び込んできました。




「え~……うわっ!汚ぇっ!

今までの笑顔は何処かへ消え去って、「行こう!」と優しかったお嬢さん2人は腕を取り合い足早に逃げていきました。





何が起こったか全く解らず右側後方に居るであろう男を振り返ると………





「四つん這い」でした。

しかもビックリするほど鮮やかな薄ピンク色の物体をお口から産み出していました。

「ええーっ!!」

驚きで叫んだ声が夜の帳に響きます。涙を浮かべた顔を上げて男は言いました。



「き、今日…「スパ王」しか食べてないんだよぉ……ううっ(泣)human being


参考資料・日清 スパ王たらこ味




口をついてでる言葉の八割以上が嘘のこの男。
この男こそ現実の「狼少年」。


いいえ。



『リアル・狼中年』なのです。