つりぼり十番勝負《管理釣り場「H」編》②
5時50分。
待ちに待った受付が開き、戦いの火蓋が切って落とされました。
では早速と川へ乗り込みます。
良く見えなかった魚影もサングラスをかけいざ釣り始めてみればぼちぼちと見えてきます。
ここは先手必勝と気合いのキャスティングです。
しかし神は無情にも『現・釣りキチ三平ホルダー』、『パックン』
(携帯の文字が老眼で見えないと言うので文字を大きくしてあげたら「馬鹿にしてんのかっ!」と逆ギレ
する不条理な男)
にヒットが………。
悔しさに震えながらもその動向をみると、何と元気なお魚でしょう。
フック(針)を外そうと大きくライズ(水面から飛び跳ねる)し、たちまちバラして(魚が外れる)しまうのでした。
「ざまあみやがれっ!」
という心の叫びはおくびも出さず、三平師匠に優しく仏の笑みを向けました。
「うわ。凄いなあ。」
バラしたのにも関わらず、ちょっと嬉しそうな三平師匠。
しかし釣りは釣り上げてナンボ。
ファースト・フィッシュをとる為にわたくしも負けじとさらにキャスティングを続けます。
すると何ともキビキビとしたアタリ。 必死のアワセでヒットかと興奮した矢先、
「イシンバエワ」(女子棒高跳びの世界記録保持者・ゲロマブ(死語))かっ!とツッコミたい程の
ライズでバレてしまいました。
「あ"あ"ーっ!」
思わず上げてしまった声に師匠も内心はどうだか知る由もありませんが優しく微笑むのです。
「いやあ、川にいる魚は違うねえ!」
師匠はまたまたヒット、そしてライズ、そしてバラシをやられました。
しかしもう一度目の様な笑みはその顔には無く完全なる「本気モード」です。
その後師匠が一本上げたかっ!と思った刹那こちらにも完全なるヒットが!
2分と開けずにファースト・フィッシュを釣り上げる事に成功したのです。
サイズはたいして大きくは無いものの、今までのニジマスとはパワーが違います。
それもそのはず。
いくら管理釣り場とはいえ、池でダラダラと泳いでいた魚と流れの中を日がな泳ぎ続ける魚。
例えるなら「イチロー」と「ヒデロー」、
「ウサイン・ボルト(100mの世界記録保持者・カイデー(デカいの意))」と
「サイン・コサイン・タンジェント」(なんのことやら)程の差があるのです。
激しいやり取りを終え釣り上げた魚に満足気な二人。
「いやはや、面白いっ!」
そして二人は取り憑かれた様に竿を振り続けるのでした。
《つづく》