つりぼり十番勝負≪管釣り「S」編≫②
『ブチ込んで!!そのふっとい「ハリス」…私のアゴにブチ込んで!!』
と妖しく光る肢体で私に懇願して来る……鱒たち。
そして私は高らかに「つ・五平」こと『パックン』
(釣りの日には「日焼け止め」「虫除けスプレー」と細々した準備も余念がない四十路のおっさん)
に言うのです。
『ここの鱒は俺のテクの虜じゃあ!!』
はっ!!!
いかん………いかんぜよ………。
あまりの釣果の悪さに幻想を見てしまっていた…………。
確かにデカい!素晴らしいファイト!
しかしながら釣果が一向に上がらないのです。
「今何匹?」
とは聞きません。
なぜって負けてるのは確実だもの……。
いけない!糸が見えなくなっちゃった!…………涙で。
でも泣いてちゃダメ!
だって僕『釣りキチ三平』ですもの!
涙なんて「五平」に見せられるもんですかっ!
嗚呼っ! またっ!
「掛かった!」と思ってカヴィンに反応してしまう、中2のような僕の竿。
また鱒がバレてしまったよ………。
もうさっき釣り上げた魚の手応えが記憶の片隅から消えてきたよ………
ママっ!…嗚呼……ママっ!!!
温かいスープが………飲みたい…………。
「師匠っ!師匠!!」
誰?
「師匠」って誰???
「ちょっと!三平師匠!!」
はっ!!
ご……五平っ!!
「え?…何よ?」
何事もなかったかのように…今までの過去なんてなかったかのように…
悲しみの釣りなんてなかったかのように(byサンボ・マスター)答えました。
「マッディーポンドに行きませんか?」
そうでした。
ここ「管釣りS」にはもうひとつ「濁った池」があったのです。
「カナダ」こと「菅釣りF」(「五平」がそう呼ぶ管理釣場)も「マッディーポンド」。
先日行ったリベンジにて、ある程度の釣果を出した実績が私にはあったのです。
「おう。そうね。」
何気なく、そう、何気なくその提案にのりました。
「こっからが勝負!」と折れかけた、「壊れかけのソウル」に火を熾しながら…………。
《つづく》
