デジャビュ
軽々と身をこなし、敵より球をインターセプトする友人Kの足元から絶好のタイミングでパスが俺の元に繰り出された。
獣の様な敏捷性を見せて球をトラップし、ゴールへと突進む。
それが俺、「和製・インザーギ」の求められ、そして与えられた使命である。
「野性の勘」でそのパスの匂いを嗅ぎ取った俺はすぐさま反応し、その体勢へと入った刹那、股関節が断末魔的な悲鳴を上げた。
その声を俺は何処かで聞いた…。
思い出した………。
『先週。』
『飲みに行った居酒屋で喉の渇きを潤すべく、俺は「生ビール」をジョッキで頼んだ。
喉の渇きと同時に俺は飢えていた。「サラダ」など生ぬるい、猛烈に身体全体が「肉」を求めている。
俺はジョッキと共に注文した。
「土間土間」で食べた「奇跡の手羽先」。
その手羽先を関節部分から半分にした時の音。
その音だった。
今俺の股関節から聞こえたのは………。
だが動きを止める訳にはいかない。
俺は「ストライカー」なのだから。
球を受けゴール前へと突進む。
しかしながら「手羽先」ならぬ「手羽元」、いや「手羽股間」と化した俺は身体が言う事を聞かず、相手ディフェンスに絡め取られた。
俺の肺は猛烈に酸素を求めていた。
気管支は大量に送り込まれる空気でカラカラに渇き、切ない音を奏でた。
脳が脈を打つ。心臓も激しく鼓動する。
激しい呼吸困難に襲われ、そしてむせた。
異物が喉を駈け上る。
「肺胞」か?…はたまた「心臓」か???
その感覚を俺は何時か感じた………。
思い出した………。
『先週』
「奇跡の手羽先」は俺のビールのピッチを上げた。
喉の渇きはもう治まってはいたが「つまみ」が俺のビールへの渇望を刺激し続けた。
杯も進み、俺は刺激を求めている自分に気付いた。
皿に添えられた「黄色い悪魔」、「辛子」を串カツに大量に塗り、口に放り込んだ。
「悪魔」の名は偽りでは無かった。喉、鼻腔の奥の粘膜をあの「でっかいフォーク」で刺し、暴れた。
むせた。咳とくしゃみのツートップが襲いかかる。
串カツはピッチの外に弾き出された。
それでも攻撃の手を緩めないツートップ。
吸って吐くと言う通常の呼吸は許されず、呼吸困難に襲われた。
しかしながらその「黄色い悪魔」の「暴動」も緩やかに鎮静をみせたが、最後の足掻きが、大きな咳によって喉を異物が突き上がって行くのを感じた。
「肺胞」か?…はたまた「心臓」か???
いや。
これは…………『一口ゲロ』だ。
その感覚だった。
今俺の口一杯に広がる酸味は………。
「手羽先」の音を出す「股関節」と、口一杯に広がる「一口ゲロ」を
「ゴックン」しながら俺はピッチに平伏して居た。
少し…………泣きながら。
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日頃の運動不足と身体じゅうを蝕む「爆弾(脂肪)」。
ワンプレイごとに『ボキッ!』だの『グリッ!』だの『ヴェチャ!』と変チクリンな音が鳴り続ける肢体。
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