「Xperia PLAY」のゲームには“2つの側面”――ソニエリ大澤氏に聞くXperiaラインアップ拡大戦略

2011 International CESでの「Xperia arc」の発表に続き
Mobile World Congress 2011に合わせてSony Ericssonは「Xperia neo」「Xperia pro」
「Xperia PLAY」と新モデルを続々と発表
Xperiaシリーズ拡充の姿勢を全世界にアピールした

同社は新ラインアップのコンセプトや商品戦略をどのように考えているのか
さらにタブレット端末の開発や日本市場向けのカスタマイズについてどんな考えを持っているのか
―― Sony Ericssonでプロダクトの商品企画を統括する大澤斉氏に聞いた

●強いXperiaブランドを担う主軸3モデルと、横の広がり
―― 今回の発表でXperiaのラインアップはかなり幅広くなった印象を受けますが
こうしたモデル群をユーザーが受け入れる土壌は整ってきたと思われますか?

大澤氏 もちろんです 今や我々の予測を上回る速度でスマートフォンへの移行は世界各国で起きています
日本でもドコモさんが来期は600万台とおっしゃっていますよね
さらに移行が速いのが韓国で、日本より1年ぐらい進んでいる印象を受けます
アメリカはメッカですので、もちろんスマートフォンがないと戦えませんし
ヨーロッパもその流れをくんで需要が急激に拡大しています


―― XperiaはいずれもOSにAndroidを採用していますが
今後はAndroidがSony Ericssonの主力商品になるのでしょうか?

大澤氏 今の断面ではAndroidにフォーカスしていきます
グローバルレベルでは2.5Gの端末もありますので、すべてではありません
しかし、我々の戦略商品群は、“Xperia=Android”という戦略を軸に展開していきます


―― 新たなXperiaラインアップそれぞれのコンセプトやターゲットを教えてください。

大澤氏 まず、CESで発表したXperia arcですが
これは昨年に発表した「Xperia X10」の後継機種であり、我々のフラッグシップモデルです
Xperiaブランドの基幹を担う商品で、ハイエンド志向のお客様をターゲットにしています

次にXperia neoですが、このモデルはミドルレンジとしてのラインアップです
2010年度はミドルレンジにSymbian OSの端末を使っていましたが、Androidにフルフォーカスします
Xperia neoは幅広いユーザー層を想定していますが、サイズコンシャスなモデルですので
特に片手での操作性にこだわるお客様を狙っています
ヨーロッパを中心に、ワンハンドソリューションに対するニーズは高いです

さらに、「Xperia X10 mini」も継続して販売します
我々はarc、neo、miniの3モデルを“強いXperiaブランドを作るための主軸商品群”として位置付けており
これが商品戦略の軸足となります


―― ハイエンド、ミドルレンジ、ローエンドのそれぞれでXperiaブランドを打ち出していくということですね
気になるのは、arcとneoの差別化です
neoは1GHzのSnapdragonや裏面照射型CMOSセンサーのExmor Rなど、スペック的にも充実した印象を受けますが
このモデルは“ミドルレンジ”なのでしょうか?

大澤氏 ミドルハイ、という感覚で捉えていただけるといいでしょう
差別化に関してお話しすると、Xperia neoはまず、ワンハンドで使いやすいボディが大きな特徴です
それに対し、Xperia arcでは、ボディの薄さとクオリティの両立にこだわっています
妥協のない機能が、ここまでの薄さに収まっていることに価値を感じていただければ
薄型化にあたって、液晶とガラス面の隙間をなくす「クリアブラックパネル」の技術も取り入れています
これは、neoには採用されていないものです


―― なるほど。

大澤氏 これら3モデルがメインの商品軸ですが
それだけではお客様のご要望を満たすことはできないと考えており、今回はさらにラインアップを広げました
その1つが、ゲームのプロポジションをスマートフォンに取り入れたXperia PLAYです
我々の長年の夢であり、挑戦といえる端末です

最後にXperia proですが、このモデルはQWERTYキーボードを搭載し、文字の打ちやすさにこだわったモデルです
我々は「コミュニケーション・エンターテインメント」を掲げる会社ですので
こうしたモデルでコミュニケーションの楽しさを打ち出すことも重要と考えています
また、従来から提供する「Xperia X10 mini pro」も、同じ方向性に属するモデルとして展開します

主力3モデルを縦軸に、テキストインプットに配慮したpro、遊び心たっぷりなPLAYと
横の広がりを持たせたのが今回のラインアップです
この広がりはまだまだ拡大の余地があると思っています


●Xperia PLAYのゲームに“2つの側面”
―― 今回のラインアップではXperia PLAYが特にユニークで、読者からの注目も高いです
この端末で楽しむゲームは、過去のプレイステーションタイトルが中心になるのでしょうか?

大澤氏 直近ではそうですが、PLAYのゲームは基本的に“2つの側面”で広がりがあると考えています
つまり、プレイステーションゲームを楽しむという側面に加え、Androidマーケットに公開されたゲームを
PLAYならではの体験性で楽しめるという側面があります


―― AndroidマーケットにあるゲームがPLAYのゲームパッドで遊べるようになるということですか?

大澤氏 当然、ゲームパッドで遊べる場合とそうでない場合とがありますが
今後はPLAYで遊ぶことを念頭に置いたゲームを作ってこられる方が出てくると思います
端末の仕様やAPIさえ公開すれば、加速度的、自然発生的にゲームパッドで遊べるアプリが増えていくと考えています

また、ゲームアプリはもちろんなのですが、コミュニケーションのためのアプリなど
我々が予想しないようなさまざまなジャンルで、PLAYの特徴を生かした新しい利用スタイルが生まれることにも期待しています
やはり、いろんなアイデアが自然発生的に集まってくるのがオープンプラットフォームの良いところでしょう


―― ゲーム専用機とは違い、電話が鳴ったり、バックグラウンドで動いているプロセスが
ゲームの挙動に影響したりといったことが想像されるのですが、ゲーム体験のクオリティ管理に関してはどのようにお考えですか

大澤氏 難しい部分ですね。我々がAndroidマーケットにあるすべてのゲームをチェックできるわけではないので
公開されたAPIの範囲内でゲームを作ってもらうことをお願いするしかありません
ゲーム中に着信があった際には、ゲームが一端ポーズされて着信画面に移り
電話が終わればまたゲームを再開できる、という流れを考えています


●Xperia X10のフィードバックが生きる新モデル群
―― 新発表されたXperiaシリーズは動作が非常に機敏だと感じましたが、その理由はどこにあるのでしょう。

大澤氏 我々は幸いにして早い時期にX10を投入することができ、お客様から多くのフィードバックをいただけました
その結果、端末の非常にベーシックな部分、動作の速さや通話品質といった点にフォーカスを当てて
次期モデルを開発する流れになったのです
例えばneoやproにはノイズキャンセリングの機能を入れて通話品質を高めていますし
タッチパネルの操作性も他社のものをベンチマークした上で作り込んできました


―― 操作感の向上にはOSやチップセットの進化の大きく影響していますか?

大澤氏 もちろんOSはOSで改善していますし、Snapdragonも新世代になりましたが
それをうまくインテグレーションできるかが腕の見せ所です
単にOSやチップを乗せただけでは、ここまでのスピード感にはならないと思います
地味な部分を丁寧に作り込んでいますし、そうしたことの積み重ねで
お客様が次の商品を買うときにもSony Ericssonを選んでいただけるようになると考えています

Sony Ericssonは日本半分、スウェーデン半分のグローバルカンパニーであり、日本のものづくりの姿勢は会社全体で受け入れられています
それが我々の強味だと考えていますし、そこに例えばスウェーデンデザインといったグローバルな良さがうまくミックスされています


―― 他社のAndroid端末に対するXperiaの差別化ポイントしては、やはり端末やUIのデザインに目がいきます

大澤氏 デザインに関しては、X10と同様にヒューマンカーブチャーというキーワードにこだわっています
ワンハンドでの使い勝手を意識したneoはもちろんですが、arcに関しても背面にゆるやかなカーブを付けて手の収まりを良くしています
また、こうしたアイデンティティはシリーズで統一されています


―― 画面のUIはいかがでしょう。

大澤氏 TimescapeはX10から踏襲しています
また、従来のMediascapeの発展系として「Media pane」(メディアペイン)を新たに加えました
Mediascapeでは音楽、動画、写真といったコンテンツをひとまとめに表示していましたが
今回はコンテンツを1画面で管理するというコンセプトはそのままに、音楽、イメージ
ムービーといった各ジャンルのコンテンツに個別にアクセスできるようにして
コンテンツが膨大になったときでもよりスムーズに利用できるようになりました


―― Xperia proでは、例えばメールを見ている時にスライドキーボードを引き出すと、自動的に返信画面に遷移するといった工夫もありますね。

大澤氏 お客様が何かしたいと思ったときに、それに直感的に応えてくれるUIが一番いいものだと思っていますので
いかに速く分かりやすく見せられるかが重要なポイントです
また快適性に加え、エンターテインメントカンパニーの我々としては楽しさも感じていただきたい
だからこそTimescapeやMedia paneを入れています


●タブレット端末や日本独自仕様への考えは?
―― ところで、arcが4.2インチ、PLAYが4インチ、neo/proが3.7インチ、miniが2.55インチと
幅広いサイズの端末をラインアップしていますが、より大きな端末を出す考えはありますか?
MWCでも多数のタブレット端末が出ています。

大澤氏 タブレットという言葉が正しいかは分かりませんが、通信速度が上がりコンテンツはよりリッチになっていきますので
その中でお客様が端末にどんな要望を持たれるかを見定めていきたいです
大きい画面の方がベネフィットが高いと判断すれば、大きいものを出します
ただ、電子書籍をトリガーに始まったタブレットの流れに単純に追従していくだけでは不十分だとも考えています
ニーズを見定めた上で、ディスプレイサイズを決め、どんなプロダクトであるべきかを決めていきます
それが5インチなのか、10インチなのか、まさにそうしたことを今ディスカッションしている状態です


―― サイズの見定めというのは重要そうですね

大澤氏 やはり端末をどう位置付けるかが重要ではないでしょうか
PCの置き換えといった視点もありますが、我々はスマートフォンを軸にグループの役割を担っています
ですから、スマートフォンの発展系としてのアプローチになると思います


―― おサイフケータイやワンセグといった日本仕様に関してはどのように対応していきますか

大澤氏 我々も日本市場で長年やらせていただいていますし
KDDIさんではフィーチャーフォンの方もきちんとやらせていただいています
ですので、お客様が何を求めているかは、タイムリーに把握しているつもりです

2010年、そして今回のラインアップは、世界的にXperiaブランドをしっかりとポジショニングしていくというフェーズでした
しかし、そろそろ次のフェーズに移っていると思っています
アーリーアダプターは当然ですが、フォロワーと呼ばれる層もスマートフォンへの移行が始まりつつあります
そこで、フィーチャーフォンからの移行を考えた際に、どんな機能が必要なのかを見定めている最中です
必要であると判断すれば、機能を乗せていきます
映像はストリーミングやオンデマンドがいいのか、やはりワンセグが必要なのか、そうしたことをまさに熱く議論している段階です