Apple社の『iPhone』は、北米ではライバルを相手に互角の競争を繰り広げている

しかし日本、インド、中国というアジアの3大通信市場では苦戦しているらしい


最近のiPhoneの販売台数を見ると

日本ではApple社製品のファン以外の新規顧客の獲得に苦労している


一方、(中国に次ぐ第2位の通信市場である)同じアジアのインドでも

最下位機の8GBバージョンが700ドルという価格設定が響き、やはり低迷


さらに中国に目を移すと、Apple社は中国の携帯電話事業者

中国移動(チャイナモバイル)とはいまだにiPhoneの販売契約を締結してない

[今年1月、販売に関する両社の協議が打ち切られたという報道があった]

月に何百万台もの携帯電話端末が販売されているこれらの国々で

iPhoneの販売実績はわずか数十万台にとどまっている


高すぎる価格設定と、現地市場のニーズに考慮ないマーケティング戦略が原因だ。


アジアでもっとも急成長している通信市場の1つであるインド市場を例にすると、

2006年から2007年の間に、インド国内のスマートフォンの売り上げは約31.4%増加

データ通信機能がメインの多機能デバイスの売り上げは前年比89%と急増

音声機能がメインのデバイスの売り上げも26.3%伸びている


インド電気通信規制庁(TRAI)の発表によると

2008年7月時点のインドの携帯電話加入者数は約2億9600万人で

7月だけで加入者数は約920万人増加している

インド市場で首位に立つのはフィンランドのNokia社だが

『BlackBerry』を擁するカナダのResearch In Motion(RIM)社や台湾のHTC社

スウェーデンのSony Ericsson Mobile Communications社といった企業も勢いを増している


だが、Apple社は成長の波に乗れていない

米IDC社のインド法人、IDC(India)社のアナリストであるNaveen Mishra氏は

インド人がiPhoneに興味がないわけではない、と指摘

Apple社のブランドとiPhoneのデザインはインドの消費者の心をつかんでいるが

端末の価格が高すぎ、さらに3Gネットワークが国内に存在していない

(2009年の中頃には最初の3Gネットワークが配備される予定とされる)ことなどから

ユーザーは購入を控えているということだ


一方、日本では、Apple社は国内第3位の携帯事業者ソフトバンクモバイルと提携し

『iPhone 3G』を販売している。発売当初は大いに話題を呼んだが

月額料金が高い点、日本の携帯電話での一般的な機能の一部が使えない点が嫌がられ

iPhoneに対する需要は当初の3分の1にまで落ち込んだと『Wall Street Journal』紙は報じる

[同記事によると、当初は100万台販売されると予測されていたが

「50万台に達しない」という見方が大勢を占めているという


また、WV過去記事「『iPhone』は日本人に受け入れられるか?

「複雑過ぎる」日本の携帯電話」では、スマートフォンや高機能の『iPod』としてなら

そこそこ売れる可能性があるが、携帯電話が文化として根付いた日本の市場に

競合製品として食い込むのは難しい」という見方を紹介している]


≪アップル“敗戦”≫

日本では100万台売れる-との予測もあったアイフォーンに当初の勢いはない

アップルとソフトバンクは販売実績を極秘にしているが

通信業界に詳しいUBS証券の乾牧夫シニアアナリストは

「20万台前後で止まっている感がある」と推測

年内販売は控えめに35万台程度と見積もっていたが、それにも及ばない情勢という

アイフォーンは、タッチパネル式大型液晶画面による斬新な操作性

▽インターネット閲覧の容易さ

▽未来的なデザイン

▽音楽プレーヤーを一体化した利便性-などが魅力だった


しかし絵文字が使えず、おサイフケータイ、ワンセグ放送受信機も搭載されていない

アイフォーンに買い替えると携帯メールのアドレスが変わってしまうことや

電池の持続力の短さなども災いし、購入層はアップル製品の愛好者などにとどまっているもようだ


乾氏は「新しい提案のある製品だが、日本向けに手直しせず発売した点で市場を見誤っていた

一定のヒットはしたが戦後処理も必要な段階だ」とアイフォーン商戦を総括

携帯が電話とメール機能にとどまっていた欧米と異なり

「日本はすでにネット閲覧や音楽再生機能を盛り込んでいる

アイフォーンの新規性は薄い」と市場環境の相違を指摘した


中国市場については、憶測はあるものの

中国市場でのiPhone 3Gの販売に向けたApple社と中国移動との話し合いが

最終合意に近づいている様子はない。

[別の英文記事によると、中国ではさまざまな企業が

勝手にアンロックしたiPhoneを直接消費者に販売する大規模な「闇市場」が存在する]



Apple社は、アジアでの事業展開についてもっとよく検討すべき時期かもしれない

迅速に戦略を変更できなければ、同社は世界最大の通信市場から締め出されるおそれがあるのだ