vol.156(2022.2.8)
東洋医学の良さっていうのは
分類がとにかく細かいことです
大きく見れば1つの症状でも
いくつかの分類が
病因や病機から
細かく分けられていきます
例えば大きく見れば熱証でも
陰虚からくる虚熱もあれば?た
外邪の侵襲による実熱や
体内で発生する内熱など
主症状や随伴症状などから
細かく分けられれます
この細かな分類が
治療方針の選択に影響を与え
より状態に即したものを
選択できるようになります
そしてここが西洋医学と
1番異なる部分だと思います
同時にここが東洋医学が
理解されにくい部分でもあります
私が東洋医学をまとめている理由は
この細かい分類を
まずは頭の整理をしなが
できるだけ分かりやすく
東洋医学をそのまま伝えることと
まとめていく中で
西洋医学との共通点をみつけ
スポーツ科学に結びつけて
最終的にそれらを
融合していくことです
そうすることで
もっと自然にパフォーマンスを上げ
最小限のストレスです
最大限の効果を生み出すことが
できるようになると思っています
今回は以前触れた
切診の中でも
脈状診について
少し深く掘り下げ
まとめていきたいと思います
ただ脈を診るといっても
その拍動のわずかな違いを感じる
それが東洋医学における
脈診になります
Impossible is Nothing!
(不可能なんてありえない)
東洋医学に根づく
治未病という
考え方
簡単に言えば
病気になる前に治す
ということである
現代風に言うなら
予防医学になる
どんな病気にも
原因があり
それをいち早く見つけ
退治してしまう!
東洋医学を通して
身心一如を身につけ
不可能だと思えることにも
果敢にチャレンジする
そんな考えを1つでも
お伝えできれば
嬉しいです
切診の中でも
比較的誰でも行えるものが
脈診です
ただ
行えるとは言いましたが
決して簡単ではありません
脈を触れること自体は簡単ですが
そこから身体の状態を
読み取るにはかなりの
経験と知識が必要になるのは
言うまでもありません
そこで今回は
脈について少し掘り下げて
まとめていきたいと思います
脈診は一般的には
手首の動脈(撓骨動脈)で
読み取ります
脈診では次の8つのことを
触知していきます
- 深さ
- 速さ
- 強さ
- 流暢度
- 太さ
- 緊張度
- 長さ
- 脈律
●深さ
脈の感じられる深さで
「浮•沈」で表されます
浮脈→軽く指を当てただけでも
拍動を感じる脈
以下の場合にみられます
• 病邪が表にある
• 陽邪が存在する
• 陰陽の制約が失調する
【病証】表証•虚証
沈脈→軽く触れただけでは拍動を感じず
筋骨の間まで按じると感じる脈
以下の場合にみられます
• 病邪が表から裏へ入る
• 内生の病邪が存在する
• 陽気が損傷する
【病証】裏証
●速さ
脈拍のスピードで
「遅•数」で表されます
1呼吸に4~5拍を平脈とします
※1呼吸は術者の呼吸を基準とします
遅脈→平脈に比べ脈拍が遅いもの
以下の場合にみられます
• 陽気が損傷する
【病証】寒証
数(さく)脈→平脈に比べ脈拍が速いもの
陽邪(暑邪•火邪)が感受する
内熱•内火がある(熱証)
●強さ
脈を押圧した際に
指を押し返す力のことです
「虚•実」で表されます
虚→指を押し返す力が弱いもの
無力•弱などとも言われる
以下の場合にみられます
• 気血が不足した場合
【病証】虚証
実→指を力強く押し返すもの
有力とも言われる
以下の場合にみられます
• 正気が充実している
• 熱が存在する
• 正気と邪気が争っている
【病証】実証
●流暢度
脈の流れ方で
「滑•濇」で表されます
滑脈→流れが滑らかなもの
以下の場合にみられます
• 痰湿が存在する
• 気血が充実している
• 邪熱が存在する
【病証】痰湿•食滞
濇脈→流れが悪くザラザラとして
渋っているもの
以下の場合にみられます
• 瘀血により気血が滞っている
【病証】血瘀証
●太さ
脈を押圧したときに
どれくらいの幅で
脈を触れることができるかで
「大•細」で表します
押圧幅を5層に分けて
そのうち何層で
脈が触知できるかで判別します
大脈→太い脈で4層以上の脈幅のもの
以下の場合にみられます
• 陽邪(暑邪•火邪)を感受する
• 内熱•内火がある
• 気血の損傷が甚だしく
脈管が弛緩している
細脈→1層or2層に満たない脈幅のもの
以下の場合にみられます
• 陰血が消耗している
• 気の推動作用の低下による
相対的な陰血の減少
【病証】血虚
●緊張度
脈管の緊張具合による硬さで
「緊•弦•軟」で表されます
緊•弦→柔軟性に乏しいもの
以下の場合にみられます
• 寒邪の収引性により脈管が
収縮している
• 肝の疏泄の失調により気機が
失調している
【病証】緊:実寒•痛証
弦:肝胆病•痛証•痰飲
※緊脈•弦脈はどちらも緊張した脈だが
臨床上寒邪の侵襲による場合は緊脈
肝の疏泄の失調によるものは弦脈として
考えられることが多い
軟脈→柔らかいもの
以下の場合にみられます
• 気血が不足している
【病証】
●長さ
脈の触れる長さと
通常の寸口部との比較で
「長•短」で表されます
長脈→脈の触れる範囲が長いもの
以下の場合にみられます
• 陽邪が侵襲している
• 内熱•内火がある
【病証】陽気有余
短脈→脈の触れる範囲が短いもの
以下の場合にみられます
• 気の推動作用が低下している
• 気血の運行が滞っている
【病証】気滞•気虚
●脈律
拍動のリズムのことで
特定の脈律異常として
「結•代•促」などがあります
いわゆる不整脈のことで
東洋医学では
「脈律不整」と表現されます
結脈→脈拍がやや遅く不規則に止まる
【病証】血瘀•寒証
代脈→規則的に止まり
拍動回復までの間欠時間が
わりと長い
【病証】陽気の衰退•痛証
促脈→脈拍が速く不規則に止まる
【病証】熱盛•気滞•血瘀•痰湿
以上8つの視点から
基本的な脈状をまとめましたが
この中でも脈状診の
基本となるものを祖脈といい
浮•沈•遅•数•虚•実の六脈が
これに当たります
祖脈を診ることで
表•裏•寒•熱•虚•実といった
病位•病性•病勢といった
八綱弁証における
病証の判断のサポートになります
脈に関してもここで挙げたものに加え
教科書的には28種の脈状が
紹介されています
全てを知る必要はないですが
やはり知っておくことは
プラスになると思います
まずは基本的な祖脈だけでも
覚えておくといいですね
【参考文献】
新版 東洋医学概論
最後まで読んで頂き
ありがとうございました🙇
皆様に少しでも
気づきのある
一日でありますように