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コンピューターが個人資産を運用してくれるサービス「ロボットアドバイザー」が、話題を呼んでいます(いるような気がする)。
日本と海外の「株」と「債券」と「不動産」と「貴金属」と「商品」のETF(要するに、普通の人が思いつくほとんどの分野のETF)を対象に、ポートフォリオ理論を活用してもっとも効率的に国際分散投資をします、というものです。
利用層は30~40歳代がメイン。ネット・スマホだけで手続きはすべて完了し、年間手数料は投資額の1%未満。大手証券の同様の商品のファンドラップ(こちらは対面・有人です)が3%前後の手数料を取るのに対し、大変お得です。
一応各社とも年間3~8%程度の運用利回りを狙ってはいますが、それはまあ、言うだけならタダ。一部のロボアドは運用実績を公開していますが、まだ始まって1年ちょっとのサービスなので、実力なのか、たまたまなのか、判断しづらいところです。
まあとにかく、その仕組みと各社のサービスの特徴を調べてみました。
まずロボアドの仕組みですが、ざっくり言うと、コンピューターを駆使した競馬の馬券購入指南、と言ったところです。
コンピューターに「レースの出走馬」(投資商品)の「戦績」(過去の値動き)と「他の出走馬との相性」(相関係数)を入力すると、「この馬に一点買いで」「ここは3点買い、金額配分はこれこの通り」と言ったように答えを出してくれる。そんなものです。
当然ながら実際には、ロボアドの運営会社が最初から出走馬や過去の戦績などのデータを入力しておいてくれます。
その上で利用者は、「どれぐらいのリスクを取って投資したいですか(=万馬券を狙うか、それとも手堅く行くか)」という質問に答えると、答えに応じたおすすめの馬券購入メニューを提案してもらえる。そういうわけです。
もうちょっと具体的に言うと、ロボアドはまず、個別の投資商品の「過去の値動き」を統計学やら確率論やらの数学理論で分析して、「将来の値動き」を予想します。
予想すると言っても、「明日は確実にいくらいくらの値段になる」というような予言をするわけではなく、たとえば「800~1000円の間のどこかの金額になる確率は20%」「300~1200円の間になる確率は80%」、といった形での予想が出てくるわけです。
高い確率で予想を当てるよう求めれば答えの幅は広がるし、逆に狭い値幅で予想を出させれば、当たる確率は低くなるという、悩ましい関係ですね。
その上で、複数の投資商品の組み合わせについても、「この組み合わせで投資すると、500~1800円になる確率は75%」「1200~1600円の確率は45%」というように、同じ形で予想してくれるわけです。
そして最終的に、コンピューターが無数の試算を繰り返した上で、「この投資先の組み合わせが、あなたの好みにぴったりでしかも効率的だ」という落としどころを出してくれるわけです。
そうそう、「相性」(相関係数)というのは、こういうことです。AとBの二つの投資商品があったします。過去の値動きから見て、AとBが全く関係ない値動きをするなら相関係数はゼロ。Aが値上がりしたときにBも値上がりする確率が高いなら、確率が高くなるほど相関係数は大きくなり、逆にAが値上がりしたときにはBが値下がりする可能性が高いほど、マイナスになって行く、というものです。
さて、この値動き予想と馬券の組み合わせの計算式は数学的に立証されているので、同じデータを入力すれば、どのロボアドも基本的には同じ答えを出すはずです。
基本的には、というのは、ロボアドによっては「スマートベータ」(=ベテラン予想屋ならでは独自ノウハウ)をプログラム化し、値動き予想を修正している場合があるからです。まあ、ほとんどのロボアドはそんな事やってませんし、「修正」が裏目に出る可能性もあるわけですが。
しかし、統計や確率を使った値動き予想、ってほんとに信頼できるんでしょうか。答えは、「場合による」です。
たとえば、友人に1年間毎日、パチンコに行ったかどうかの日記を付けてもらったとしましょう。
それを元に友人が「あしたパチンコに行くかどうか」「行った場合、どれぐらい勝てそうか」を予想するのは極めて困難ですが、「来年は1年間に何回パチンコに行きそうか」「年間でどれぐらいの勝ち負けになりそうか」については、それなりのメドは付けられそうですよね。
さらに、足立区民全員にパチンコ日記を付けてもらったとしましょう。「足立区民が来年1年間にパチンコに行く平均回数」「年間の平均的な勝ち負け」についての予想は、胸を張って答えられます。「まあ、今年と同じぐらいじゃないの?」と。
ようするに、個別株の短期の値動きを予想することは絶望的ですが、多数の株や不動産物件などを束ねたETFや投資信託の長期予想なら、それなりに当てになる、といえるでしょう。
なので、どのロボアドも、「ETFを中心とした分散投資」と「長期運用」をうたい文句としているわけです。
なんだか大したことないなあ、と思われるかもしれませんが、いえいえ、これってたいそうなものですよ。
乱暴な言い方ですが、スイスのプライベートバンクが何となくやっていたことを厳密に数学的に分析して、人力でやっていたら答えが出る前に客が死んでしまうような計算式を完璧な精度で解き、しかも手数料はどこのロボアドも預かり残高の1パーセント以下と、大変おやすい水準です。コンピューターの発達とは恐ろしいものです。
「ロボアドってどう?(各社分析編)」に続く

