先月の週刊ダイヤモンドに「金融庁が地銀に対し、医療機関・介護業者向けの融資が急増していることについて、注意を喚起した」とありました。

 
 実際のところ、医療・介護向け融資のリスクってどんなもんなんでしょうか。

 

 結論から言うと、医療機関は覚悟があるならそれなりに安全、介護業者はどうころんでも要注意、って感じだと思うんですが、どうなんでしょうか。

 

 まず医療機関向けですが、国は医者に対しては護送船団方式で臨んでいます。医者が余らないよう、人数は必要最低限で抑えています。逆に言えば、よほどのことがない限り、医者には食っていけるだけ量の仕事が保証されているわけです。

 

 基本的には、破綻企業の経営再建というのは極めて大変な仕事で、だからこそ「企業再生ファンド」という専門家集団がいるわけです。ただ、その数ある再生案件の中でも、比較的簡単だと言われているのが、病院の経営再建です。

 

 はなはだ乱暴な言い方ですが、院長や理事長からベンツを取り上げて愛人と別れさせ、出入りの業者を入れ替えるだけで、だいたい問題は解決します。不透明な経費支出を取り除いた上で、なお、キャッシュフローが赤字の経営を続けるというのは、なかなか至難の業です。

 

 もちろん、積もり積もった負債の処理は簡単でないにしても、キャッシュアウトさえ止血できれば、あとはそれなりに何とかなるわけです。

 

 金融庁傘下の投資ファンド(?)レヴィックも結構、病院案件に首をつっこんできましたしね。

 

 とはいえ、地域の名士である医者とガチンコでけんかするわけですから、地銀にとっては相当の覚悟が必要です。そこそこ大きな病院だったら、地元自治体や政治家に泣きついたり、「地域の医療が崩壊する」だのなんだの、反撃キャンペーンが行われる可能性も大きいので、下手をするとナアナアのまま、泥沼に引きずり込まれる可能性もあるわけです。

 

 一方、介護業界は全然事情が違います。医療も介護も国が設定した料金体系の下で仕事をしているので、一見同じように感じるかもしれません。しかし、医療業界は護送船団方式なのに対し、実は介護保険の方は、業界下位の一定割合の介護業者は淘汰され、常に業界の新陳代謝が行われるように料金体系が設計されています。

 

 要するに、経営状況が良くない下位の介護業者は、大手と合併してコストを下げるとか、なんか革新的なビジネスモデルを発明して業務コストを下げたりサービス水準を上げたりとか、抜本的で、そしてかなり難易度の高い再建策がとられない限り、そのまま沈没していく可能性が高い、といえます。

 

 さらにいえば、自治体や政治家や社会的責任やらにがんじがらめになって、もろともに泥沼に沈みかねない、というリスクは介護業者向け融資でも同様です。

 

 というわけでやっぱり、医療・介護向けの融資は慎重にやった方が良いですよね。

 

↓↓ kindle unlimited 読み放題です ↓↓