映画『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』(2016/イギリス・ベルギー)
初めて貴女の名前を知ったとき
私はまだ無知な子供で
貴女の魂から迸るアルファベットは
ひらひらと踊る蝶のようで
ふわふわと舞う綿毛のようで
惹かれるような
戸惑うような
そんな想いのまま
もどかしく見送るだけでした。
時を経て
もう一度出逢えた貴女は
こんなにも近く
こんなにも深く
澄みきった深海の嵐のように
激しく
私の小さな世界には
貴女が愛した
葡萄の暖炉の爆ぜる炎も
ランプの夜の光と影もないけれど
セピアに染まるこの優しい季節には
貴女が綴った一文字一文字を
指で辿って過ごそうと思うのです。
劇中曲
シューベルト: 夜と夢
アイヴズ:答えのない問い