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笹塚ファクトリーで劇団ムカシ玩具第9回公演「誰にも言はずにおきませう」(作・演出・出演:舞香 / 音楽・演奏・歌:いわさききょうこ)を観て来ました。童謡詩人「金子みすゞ」の生涯を舞香さんが2時間余り演じる渾身の一人芝居です。今日が初日です。本来はチケット2,800円のところ、著作権の問題に突き当たり入場料無料になったということです。補助椅子まで所狭しと並べられ、超満員でした。

いわさききょうこさんは半透明のカーテンで仕切られた舞台の裏でピアノ(エレピ)を生演奏します。通常はいわさきさんの姿は見えないようになっていますが、歌う場面になると照明の当て具合でいわさきさんが見えるようになる仕掛けです。で、その舞台音楽ですが、いわさきさんの持ち味である暗く重たい作風は抑えられ、全体的に明るい基調の音楽でした。

お芝居や金子みすゞに関して全く疎い僕なので、金子みすゞの生涯を分かりやすく紹介してくれたことが先ず第一に非常に有意義でした。母親としての「金子テル」と作家としての「金子みすゞ」との間に生じる歪みをどう演じるかが一番の見所だったと思います。女性が芸術で生計を立てられるような時代ではなかったんですね。私事ですが「葛飾の女」(著:芝木好子)を思い出しました。

尚、本公演のタイトルは金子みすゞの「露」という詩から冒頭の句を引用したものです。

「露」 - 金子みすゞ

誰にも言はずに
おきませう。

朝のお庭のすみっこで、
花がほろりと泣いたこと。

もしも噂がひろがって、
蜂のお耳へはいったら、

わるいことでもしたやうに、
蜜をかへしにゆくでせう。