⑴場面緘黙症のセラピー(初診:4歳10ヶ月) | 場面緘黙症(かんもく)の幼稚園児 〜アメリカの幼稚園での記録〜

場面緘黙症(かんもく)の幼稚園児 〜アメリカの幼稚園での記録〜

場面緘黙症(Selective Mutism)を持つ年中(4歳)の男の子の記録です。アメリカの幼稚園に通っています。緘黙症について完全に無知だった私。場面緘黙症の兆候、診断、その後を綴っていきます。音楽と楽器が大好きな男の子です

昨日、初日のセラピーがありましたクローバー

日曜なのですが、遠方からの患者さんのために先生は可能な限り診てくださるようで、ひとまず日曜1時で予約をさせていただいたのです。(また、激しい登園拒否がはじまって途方に暮れている、とお伝えすると早期発見早期治療ということで、早めの受診をおすすめくださいました)

セラピーには、旦那も一緒に行って欲しいと願っていたので、家族全員4人で行くことになりました。(旦那、私、長男、そして次男)

事前に、私と先生で、少しずつメールでやり取りをさせていただいていたのですが、カウンセリングのB先生の御配慮で、セラピードッグも連れてきてくださるということを聞いていました。

それを次男に伝えていたので、もう嬉しくて嬉しくてたまらない次男でした。

大型の白いむくむくの犬なのですが、セラピー犬として合格し、かれこれ5年ほど働いている優秀なセラピードッグのようです。

吠えることなく、リラックスしてのんびりとしていましたわんわん

もちろん・・・吠えないのが良い犬というわけではありませんが、一応トレーニングされていますので、とても落ち着いたセラピードッグでした。

カウンセリングのオフィスに入る際、一瞬躊躇した次男なのですが、チューイ(セラピードッグの名前です)に会えるよ、と伝えると嬉しくて、もじもじしながら入りました。

そうして、先生がチューイと迎えてくださいました。


"Hello, Mr.B! Nice to meet you! My name is.....!!!"


アメリカでは、社交の始まりは、必ず大きな声で、ハキハキと相手に伝えて、目をまっすぐみて、まばたきせず・・・

その通りに私はとっさにしたのですが・・・

先生は、とても静かにお返事してくださいました。

後で気づいたのですが、カウンセリングですから、しかも場面緘黙症の4歳児ということで先生は細心の注意を払われていたようです。


・大きな声を出さない

・目を凝視しない

・場面緘黙症児を話題の中心にしない

・怖がらせない


そんなことも露知らず、大きな声をだしてしまった私です。

でも、もちろん先生は専門家ですから、大丈夫ですよ、知らずに当然ですよ、とニコニコしてくださいました。

先生曰く、場面緘黙症児を診て20年ほど経つようですが、初回の診療では、以上の点を押さえて、場面緘黙症の子供たちに注目がいかないように敢えてして、安心させてあげるようです。二回目以降からは先生と一緒にゲームをしたりするのですが、段階を経てします、と。

だから次男は、とても安心していました。

それにセラピードッグのおかげで、落ち着いたようです。

普通の状況なら、新しい場所にいくと、大きな声で大人から声をかけられます。


「元気???名前は???何歳???お返事できる???」


アメリカ人ですから、アイコンタクトはマナーとして大切でもありますので、目を見つめようとします。

どれもこれも場面緘黙症の子供たちや大人にとっては辛いものです。

それを先生は当然100も承知ですから、初回では全くそのようなことなしに、淡々と場面緘黙についての説明をしてくださいました。

今回の初診で、良かった点は、まず第一に旦那に場面緘黙についての情報が最低限入ったということです。

もちろん私から散々話していますが、常に疑っていたのです。

場面緘黙症というのはわかったけど、だからと言って次男のケースと100%一致するわけではないではないか、と。

だから、すぐ話せるようになるよ、と。

でも、心の半分は不安だ、というのも言っていました。

それでやっと専門家に話を聞いていただけ、旦那が次男の症状を伝えると、先生はその度になんだかビンゴゲームでビンゴ!した時のように、ドキドキしながらニコニコしていました。


「そうそう!全くその通りです!場面緘黙の子供たちに共通することばかりですよ、おとうさん!」


そう言って、もう悩んだり、悩もうとしなかったりしなくてもいいですよ、と。

場面緘黙ということが分かったのですから、あとはそれに対処していくだけです、と。

私は、本を読んだり、ネットで色々と情報を探していましたので、次男のケースと他の場面緘黙のケースの違いや同じ面をいくつか知っていましたが、さらにいくつかの点は昨日の専門家にお聞きしてからわかったこともあり、腑に落ちることが何度もありました。


一つのことにこだわる


というのも、場面緘黙の子供たちには多く見られるようです。(もちろんそうではないケースもあります)

ですから、アスペルガーともまた違う、と。

また、場面緘黙症の児童は、適正な治療が施されれば、平均以上の学力がある(結果を出せる)という報告があります、と。

もしくはそれ以上の、とても優秀の子供たちも多い、と。(アメリカでの研究)

しかも、特にリーディング(読解)に関しては、場面緘黙症児は優れているようで、これは特に意識したほうがよい、と伝えてくださいました。

というのも、次男は4歳ですので、もうスラスラ読める子たちもいる年齢です。

残念ながら次男は、数字ばかりすきで算数のほうに傾倒しているので、アルファベットは大文字小文字かけても、スラスラ読むレベルには至っていません。(フォニックスを使った短文を読む程度。また、サイトワーズと言って、単語を丸ごと覚えることもしていますので、最低限のサイトワーズは知っている程度で、いわゆる年齢的に平均ぐらいだと思います)

これについては、私も今日から意識して取り組むようにしてみます。

先生曰く、これはとても重要で、なぜかといえば、学校で先生が指導するリーディングやフォニックス(単語の発音)では一切声が出ない場面緘黙症の児童にとったら苦痛以外何モノでもなく、むしろ遠ざかる傾向にある、と。

その分を家でしっかりしないと、いけない、と。

そして、これが一番重要で、その家庭学習でのリーディングしている姿をアイフォンなどビデオで撮影して、それを学校の先生に次男と一緒に見てもらうのだそうです。

それをどうしても次男が拒否すれば、しなくてもいいそうで、その際は先生にだけこそっと見ていただくようにするのだそうです。

そうすることで、先生もアセスメント(評価)がリーディングに関してできます。

実は、場面緘黙症児を持つ先生が一番困るのが、この発言やリーディングに関する評価ができないという点なのだそうです。

ですから、家庭学習をしっかりして、それをビデオにおさめるのは重要なのだそうです。

ということで、来週の2回目のセラピーのためにセラピーの専門家から宿題が出されました。

次男が普段の姿でお話しているところをムービーにとって、それを次回のセラピーでみんなと一緒にみる、ということです。

その他にも宿題があり、日常生活のことで、場面緘黙があるがために難しいことなどを10段階であらわして、それをセラピーの先生に提出するということです。

それを少しずつこれから時間をかけて克服していく、という具合です。

次男の場合は、完全な場面緘黙とまた違い、特定の友人とはお話ができたり、クラスの中でもその友人とは大きな声でもお話ができます。

しかし先生には全くお話できず、アシスタントの先生にも当然お話できません。

また、朝の出席の際も声が出ないみたいで手をあげるだけみたいです。

さらに、朝の会や終わりの会、またみんなで一緒に学ぶ際には先生を中心に円状に地面にすわるのですが、その際もまったく声がでないようです。

何人ものクラスメートが、公衆の面前で、次男が喋らないことを咎めたり、疑問視して次男を注目させることが度々あるようです。

学校とは違いますが、お稽古も週に2回通っていますが、そこでは完全な緘黙の次男です。もうかれこれ1年になります。

そのお稽古の集団クラスでは当然先生にも他の生徒にも話ができません。声が出ません。でも、雰囲気には慣れてきたようで、顔の表情が出てきました。声を出さずに笑うこともできるようになりました。

だから、状況としては次男のケースは決して難しすぎるわけではないけれども、場面緘黙という症状にドンピシャであてはまるわけですから、慎重にいきましょう、と。(1年生になって新しい学校にうつったりすると、学校でも完全な緘黙になってしまうケースもあるので、とのことでした)

1年でお話できるようになる子もいれば、かなりの長期戦になることもあります、と。

マラソンにたとえてお話くださいました。

だから決して、一喜一憂しない、と。

仮にお話できるようになったとしても、波が生じて、またお話できなくなったり、することもある、と。

だから、慎重に、長期戦を覚悟してくださいね、と。