毎日片道2時間通勤しています。
通勤途中は窓の外の景色を見ているか、本を読んでいるかして過ごしています。
昨夜からの不穏なニュースに寝不足の今朝、読んでいた本に書かれていた文章~
「昨日あの人がいったことを、この午前中ずっと考え続けておりましたんですがね。
あの人はこう申しましたんです。
『いつか子どもたちがけんかしたあとで、
桃を少しずつわけてやったときだったがね、
あたしはこういって聞かせたんだよ。
母ちゃんは学校で地理の時間に
地球はオレンジみたいなかたちをしている、
って教わった。
だけどこのオレンジはだれのもんでもない、
ってことは、十にもならないうちに母ちゃんにはわかってた、
ってね。
だれだって自分の分け前だけしかもらえやしない。
おまけにその分けまえだってもらえないときだって
しょっちゅうあるのさ。
いいかい、おまえたちのだれひとりだって、
丸ごとオレンジをもらえる、なんて思っちゃいけないんだよ。
そんな考えはまちがっているんだからね。
けんかしたって、オレンジは手に入りゃしないよ。』
スーザンはそういったそうです。
『子どもが、子どもから教わることはね、
オレンジをひとりじめしちゃいけない、ってことなんだよ
-皮ごとまるまるいただいちまおう、ってのはね、
そんなことを考えてごらん、
種にだってあたらないことがあるし、
食べたって苦くて口が曲がっちまうことだってあるのさ。」
「なかなか考え深い人だね。」
クレーブン先生は外套を着ながら言いました。
「さようですとも、あの人はもののいい方を心得て
おりますですよ。」
メドロックさんは満足そうにいいました。
「時どきあの人にわたしはこういうんですよ。
『ねえ、スーザン、あんたの見かけはそんなだしさ、
ヨークシャーなまり丸だしで話すけどね、
あんたはほんとにもののわかった人だって、
これまで何度人にいおうと思ったかしれないんだよ。』」