『孤独のグルメ』シーズン5 第8話。 直感で入ったブータン料理店に魅了されたお話。
『はい。』 『これ、この唐辛子を食べるっていう事ですよね?』
『えぇ。ブータンでは唐辛子を野菜として食べますから。』
『野菜?!』 『ブータンでは、たくさんのご飯で
いくらなんでもこれを1日3食って。 オカズを食べるんです。』
『このサイズのオカズでもご飯をお替わりされる方もいらっしゃいますよ。』
飯に合う唐辛子?そんなに辛くないのか? あ、なるほど。ああやって食べるのか。
先ずは、赤米の下見だ。
うん。 赤米、美味い。
よし!心の準備は出来た!
・・・全然、辛くない。もしかして、辛いのは見た目だけ?
ん? ん? なんだ? おっ!きたぞ! 本気がやってきたぞ!
日本では薬味の唐辛子が
まさか?!の主役。
でも、これはこれで成り立っている!
毛穴全開。 汗が噴き出す音が聞こえるようだ!
『はあ。』
『すみません。お水、戴けますか。』
どうなってるんだ?!
この辛さに何とも感じないのか? 『はぁ。』
ホゲぇ~💛 お前がいて助かったぁ。
『パクシャパです。』
わぁ~、いるいる!
よ~し、ひるまずに突進だ!
干し肉。 嚙み応えあり。
『うん💛』
ああ、これは。 大根の甘味と唐辛子の辛味が
口の中で丁々発止の戦いをしている。
うん、なんだか身体が唐辛子に慣れてきたような・・・。
間違いなく、唐辛子が国王。 全ての食材が、
唐辛子のために働いている。
ブータン料理。 日本の味付けとは違う意味で、
これ以上ご飯が進む料理を知らない。
今、俺の中で唐辛子パラダイムシフトが起こっている。
天動説から地動説へ。
うひょーーっつ!
辛さのマシンガンパンチだ!
うーっ! 辛い! 辛いけど! 止まらないっ!
まるでぇ、ブータンの魔法にかかったようだぁ~!!
唐辛子、大熱演。 胃袋からブラボーの拍手、鳴りやまず。
あぁ~。辛旨かったぁ。『はぁ~。』 口の中を、甘く冷やして帰ろう!
『すみません。』『はい。』『あの黒板のシャーベットを下さい。』『はい。』
『じゃあ、こちらお下げしますね。』『すみませ~ん。』『いらっしゃいませ。』
『昨日、予約してました春日ですが。』 『ブータン料理って初めて。』
『そちらのお席へどうぞ。』 『結構食べるよ。』 『来てみたかったんだよね。』
『ねぇ、ねぇ。これこれ。1日に3食も食べる人、いるらしいよ。』『へぇ~。』
『じゃあ、これいっとく?』『いってみようか?』
いっときなさい。 いっときなさい。
う~ん、レモンの爽やかな・・・
居たぁ~!! デザートにまで。
ブータンの唐辛子愛。 食の世界を隈なく照らしている。
あぁ~。 でも、こういう満足感。 生まれて初めてだ。
ごちそうさまでした。
ブータン。
俺の中で行ってみたい国ランキング、急上昇だ。
汗もたっぷり流したし。 身も心もデトックスされた気がする。
携帯電話から発信 『滝山?』
『全く。くだらないイタズラしやがって、この野郎。 いやいや、
いい店見つけたんだよぉ。今度、教えてやるよ。
可愛い封筒に入った手紙で。 ふっ。
えっ?今? 教えてやるからメモしろよ。 代々木上・・。』
ニンマリ五郎