『孤独のグルメ』シーズン5 第8話。 直感で入ったブータン料理店に魅了されたお話。
細い道が多すぎ。 まるで猫町だ。
携帯電話の着信音 / 『もしもし? おぉ。 滝山?
『どうしたの? え? 今? 代々木上原。 うん。 お前に紹介された
内田さん宅に納品。 え? 何? もしもし? もしもし?・・・・・。 』
うへへ!って? なんだ?アイツ。
『どうぞ。』『ありがとうございます。今日は工房がお休み・・・』
なんですね?』『そうなんです。それに、主人が急に出掛けちゃって。』
『ごめんなさいね。』 『あ、いえいえ。』
なんなんだ?!『いただきます。』
こういう雰囲気は苦手だ・・・。
『あぁ。 では。 これで・・・。』
『ありがとうございました。』 『あ、え。もう、お帰りですか?』
『まだ、宜しいじゃありませんか。』『あ、でも。仕事がありますんで。』
『あ。 そうですか・・・・・。 残念だわ・・・。』
えっ・・・! なに? その目?!
『それでは、失礼します。』 『え、あ。 ちょっと待ってて下さい。』
『・・・。 チョットだけ・・・。』
『・・・あの、・・・これ・・・。』
『あのぉ、これは?!』 『・・・後で読んで下さい・・・。』
『えっ?!』 『・・・・・。』
なにこれ?! まさか! 恋文?!
いかん!何を動揺しているんだ!?俺は!? たかが手紙を渡されただけじゃないか。
しかし・・・。 あの目!
誰も見てないよな。
五郎さんにお仕事の依頼メモ
『滝山っ!』
『怒ってないかなぁ? 井之頭さん。何かあったら責任とってよぉ。
でも、面白かったぁ。 井之頭さんの驚いた顔。 えっ!!!!!
だって。 アハハぁ~!』
許さんぞ! 滝山の奴。 内田さんも内田さんだ。
今時、子供でもこんなイタズラはせんぞ。 俺としたことが。
あんな小芝居にドギマギするなんて・・・。
おまけに、この坂道。 駅の向こうは平らなのに・・・。
これも全て、お前のせいだ!
『わあっ!!!』
『よかったらコレ持ってって💛』
『うひゃっひゃっひゃっひゃぁ~』
『そりゃあ、滝山ちゃんが悪いわ!』 『いやぁ~、参りましたよ。 で・・・。』
『外国製の自転車をお探しだとか?』 『そうなんだよ。仲間内で自転車のツーリング
が流行っててさ、俺もほら。腹がコレだろ?
運動を兼ねてチョットやってみたいなと思ってさ。』
『あぁ、なるほど。 ご予算はどれぐらいをお考えですか?』
『そこなんだけどね。どれぐらいするモンなの?』
『メーカーもそれぞれですけれども・・・
そうですね。10万から20万。まぁ、上は幾らでも。100万ぐらいするモノもあります。』
『うっひょおーっ! 高いんだねえ!』
『えぇ。そうですね。パソコンでご覧になりますか?』『なに?すぐ見れんの?』『えぇ。』
『あ、そう。じゃあ、見ようかな。 あぁ、チョット待って! お茶淹れてくるから。』
これで話が纏まったら滝山の手柄になる訳だが・・・。許すにはまだ早い。
『では、改めて資料とお見積りをお持ち致します。』
『悪いね。なんだったら手紙で送ってくれてもいいよ。』
『いやぁ、勘弁して下さい。じゃ、失礼します。』
『はい。宜しくね。 どうも。』
井草の匂い。 新しい畳の匂いで気分が清々した。 俺ってつくづく日本人だなぁ。
ほぉ~。
グッとくる路地だニャー。
・・・・・おまけに、
腹も・・・。 減ってきた!
よし! 代々木上原、攻めてみよう!
シーズン5 第8話。 ブータン料理(エマダツィとパクシャパ)の中編へ続く