関西に住んでいれば必ず上沼恵美子さんが司会で出る番組を観ることになる。

 

私も、上沼恵美子さんのキャラクターが大好きな一人である。

 

どんな点が大好きかというと、テレビではキツい喋りで一緒に出ている出演者の

 

役者さんやタレントさんをイジリまくる。そして必ず大きな落差のある惚けたツッコミ

 

で笑わせてくれる。イジられた相手はフォローなく放置される。それも必ずである。

 

40代で気が付いたが、これが出来るのは上沼恵美子さんが常識人だから。

 

常識人が、お笑いのテレビタレントをガチで演じるとこうなるという見本が彼女だ。

 

彼女が常識人な点が、私が大好きな理由である。

 

 

彼女の経歴などをサラリと書いて、良い評価をしてくれているネット記事を読んで

 

朝から気分がいい! 寝不足なんて吹っ飛んだよ。

 

 

上沼恵美子

「関東人が知らない」圧倒的な魅力 マツコも尊敬する「関西の超大物タレント」

東洋経済オンライン ラリー遠田 2019/11/17 07:40   

 

 大阪の芸能界では、吉本興業の影響力が年々強まっている。もともと「吉本独り勝ち」の状況はあったのだが、近年ではそれがさらに強まっていて、大阪のテレビやラジオは吉本芸人がほぼ独占している。

 松本人志が「探偵! ナイトスクープ」(朝日放送)の新局長に就任したのもそれを象徴している。「探偵! ナイトスクープ」はもともと大阪の番組としては珍しく、初代局長の上岡龍太郎をはじめとして、吉本以外の芸人やタレントも多数出演していた。だが、現在では吉本所属の芸人が多くなり、ついに局長まで吉本芸人になった。

 そんな中で、非・吉本で大阪のテレビ業界で名を成した人も少数ながら存在する。前述の上岡龍太郎もそうだ。また、芸人ではないが2014年に亡くなった歌手のやしきたかじんもその1人だった。大阪で数々のレギュラー番組を持ちながらも、東京嫌いを公言していて東京には進出せずに生涯を閉じた。

関西では絶大な人気を誇る上沼恵美子

 そんな非・吉本の大阪ローカルタレントの中で、人気、実力、権力の三拍子そろっている「最後の大物」と呼ばれているのが上沼恵美子である。上沼は、関西テレビのプロデューサーだった夫と結婚した際、夫の仕事に配慮して関西でしか仕事をしないという約束を交わした。それを律義に守り抜き、全国ネットのテレビではほとんど仕事をしてこなかったのだ。

 だが、関西地方での彼女の人気は絶大だ。1995年に始まった彼女の冠番組「快傑えみちゃんねる」(関西テレビ)は多くの視聴者に愛されていて、2019年3月に放送1000回を迎えた。「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」(朝日放送・テレビ朝日系)のように、大阪制作で全国ネットの番組もあるため、東京のテレビでも彼女の姿はしばしば目にする。大阪に軸足を置いて活動しながらも、その名前は全国にとどろいている。

 だが、関西人の多くが上沼がどういうタレントなのかよくわかっているのに比べて、そのほかの地方では彼女の人となりがあまり知られていない。そのギャップが浮き彫りになったのが、彼女が「M-1グランプリ」で審査員を務めたことにまつわる一連の騒動だ。

 上沼は2007〜2009年、2016〜2018年に審査員を務めている。歯に衣着せぬ彼女の審査コメントはたびたび物議を醸している。例えば、2017年の大会ではマヂカルラブリーのネタを酷評した。「83点」という低い点数をつけて、司会の今田耕司からコメントを求められても「ごめん、聞かないで」と答えた。そして、こんな言葉を投げかけたのだ。

 「一生懸命頑張ってるのはわかるけど、好みじゃない」

「よう決勝残ったな」

 上沼から浴びせられた手厳しい言葉に、マヂカルラブリーの2人は呆然と立ち尽くすばかりだった。2018年の大会でも上沼の舌鋒は鋭かった。その審査に対して、出場者だったスーパーマラドーナの武智と2017年の王者であるとろサーモンの久保田かずのぶがネットの生配信動画で不満をぶつけた。

「M-1騒動」発端となった問題の発言

 久保田「自分の感情だけで審査せんといてください。1点で人の一生変わるんで。お前だよ、一番右側のクソが」

 武智「右のオバハンにはみんなうんざりですよ。明るかったらおもろいんか? 『嫌いです』って言われたら、更年期障害かって思う」

 名前こそ出していなかったものの、審査員席のいちばん右側に座っていた上沼を彼らが批判していたのは明らかだった。この動画が話題になると、彼らのもとには批判が殺到した。武智は動画を削除したのだが、時すでに遅し。彼らは公式に謝罪をする羽目になった。上沼に対しても直接謝罪をしたいと申し入れたのだが、本人に拒否されたという。

 これらの件では、上沼がどういう芸人であるかということについての個々人の見識の違いが浮き彫りになっていた。マヂカルラブリーが批判されたとき、関西以外の人からは「ひどすぎる」「なんであんなに偉そうなんだ」といった声が多かった。一方、関西の人からは「上沼さんは普段どおり」「あんなの怒っているうちに入らない」という意見が目立った。

 上沼と共演して本番中に直接怒られたこともある狩野英孝は、自身のツイッターで「いつも上沼さんに怒られてる僕から言わせてもらったら、マジはもっとすごい。まだまだ、全然。愛ある。」と書いていた。上沼の冷たい態度を「本気」と取るか「パフォーマンス」と取るか、見方が大きく分かれたのだ。

 武智と久保田の1件もそうだ。松本人志「ワイドナショー」(フジテレビ系)でこの件に触れて「彼らは何より勉強不足ですよ。上沼さんがどれだけの人なのかわかっていない」と2人に苦言を呈した。ここでは、芸人の間でも世代によって彼女のことをどう評価するかが違うということが明らかになっていた。

3つの分野を制覇した超一流芸人

 上沼恵美子は、姉妹漫才コンビ「海原千里・万里」海原千里として1971年に芸能界デビューした。当時まだ高校生だったにもかかわらず、卓越した話術で瞬く間に人気者になった。下積み時代の島田紳助は、海原千里・万里の漫才を見て、セリフをすべてノートに書き起こし、その面白さの秘密を研究した。そして、それを元にして自分たちの漫才を作り上げた。あの紳助がお手本にするほど、その漫才の技術は圧倒的に優れていた。

 海原千里・万里はアイドル的な人気を博していて、上沼は「お笑い界の白雪姫」と呼ばれていた。全盛期にはテレビ・ラジオのレギュラー番組を十数本抱え、歌手としてレコードも出しており、1976年にリリースされた『大阪ラプソディー』は40万枚を超える大ヒットを記録した。

 その後、上沼は結婚を機にコンビを解散し、芸能界から引退してしまった。だが、1979年にNHKの朝ドラ「鮎のうた」に出演したことをきっかけに、芸能界に復帰。それ以降は、持ち前のトーク力を生かしてバラエティー番組で活躍した。1994年と1995年には2年連続で「NHK紅白歌合戦」の紅組司会を務めた。

 いわば、彼女は「漫才師」「歌手」「テレビタレント」という3つの分野で頂点を極めた圧倒的な実績を誇る超一流芸人なのだ。そんな彼女に対して「偉そうにモノを言う」という批判は的外れである。なぜなら、それほどの偉業を成し遂げているのだから。

 確かに、好き嫌いがはっきりしていて、ダメなものはダメと言い切る上沼の話芸が、賛否両論分かれるものであるのは事実だ。だが、それは彼女が目の前のことに本音で向き合っている証しでもある。建前を嫌い、普通の人が言いたくても言えないところまで踏み込んで話をする姿が、中高年女性を中心に圧倒的な支持を受けているのだ。

 あのマツコ・デラックスも著書の中で上沼の大ファンであることを公言している。一時期は上沼の番組を見るために大阪移住まで考えたほどだという。

 今どきの芸人の間では、誰かに対してキツいイジリを仕掛けたとしても、それを見た人が不快な思いをしないように、どこかでフォローを入れるというのがお約束になっている。誰もが多かれ少なかれその慣習に従っている。

 だが、上沼はそれをやらない。非・吉本の芸人である上沼は、組織に属さないし、多数派に媚びないのだ。あくまでも自分の信念や感性に基づいて、シロはシロ、クロはクロと言い切る。その発言に対する責任もすべて自分で背負う。この潔さこそが、上沼が長年愛されている最大の理由だろう。

東京でも必ず成功する

 大阪中心の活動を続けてきた上沼だが、ここへ来て新たな動きもある。11月1日には「上沼恵美子×坂上忍の東西べしゃり歌合戦」(フジテレビ系)という特番が放送された。フジテレビの番組に出演するのは約20年ぶりだという。

 また、11月8日には「快傑えみちゃんねる」松本人志がゲスト出演したことも話題になった。これらは上沼の本格的な東京進出への布石なのかもしれない。大阪ローカルタレントの「最後の大物」である彼女の東京進出が実現したら、東京のお笑い界に激震が走るだろう。

 東京では、中年の女性タレントで世間のご意見番となるような存在は和田アキ子ぐらいしか見当たらない。そのポジションはまだまだ空いている。上沼のどぎつい芸風が全国の人にとって当たり前のものとして受け入れられるようになるのも、それほど先の話ではないかもしれない。