2023年3月13日

病棟の端には夜景の見えるデッキがあって、そこで椅子に座って家族とLINEビデオ通話

みんなの顔をリアルで見ながらリモート会話できる良い時代になったんだな~

この病院が此処に移転してきたのは2001年、その頃そんな便利なものは当然無かった。

世の中はどんどん進化してきた。

きっと医学も凄いスピードで発展しているに違いない。


子供の寝る時間に合わせて通話を終えると、別の部屋の患者さん(Kさん)が隣にやってきた。

俺と同じH市在住で65歳、建築関係のお仕事をされていたところ、食道癌を放射線と抗がん剤で治療中とのことだった。

Kさんもかつて大型バイクに乗っていたとのことで、病気だけでなくバイクのことで話が盛り上がった。

これまでお互いに顔も名前も判らなかったけど、年代や立場を超えて共通の話題でリアルに盛り上がれる

そして決定的なKさんからのフレーズ

「先生から人工肛門の話されたの?じゃぁ治るってことじゃないか!だって本当に治らないんだとしたら人工肛門なんて付ける意味ないだろ?だから心配要らないんだよ!」

俺はハッとした。

そして、全て吹っ切れた。


消灯時間も迫って来たので、「おやすみなさい、明日も頑張ろうな!」と挨拶してそれぞれの寝床に付く。


窓の夜景が違って見える…

明日からの治療が不安から楽しみに変わる。


よし、戦闘開始だ!

癌細胞、もうこれ以上お前らの好き勝手にはさせねぇぞ!