2024年3月12日(火)

いよいよ検査結果と今後の方針について主治医と話し合う時が来た。

その前の夜、主治医から末梢静脈カテーテル挿入の同意書を取り付けられた。

これは点滴の薬剤を腕の血管ではなく腕を入り口として心臓付近にカテーテルを通し、より高い効果を得るためのもので、入り口こそ違うものの抗がん剤の投与治療にも用いられるとのこと。


当日は妻も同席するとのことで、約束の時間に来てくれた。

普段見慣れた妻も、なんか久し振りに見るとええ女やなぁ…(←バカ)

しかしその表情は何かを覚悟して来た表情だった。


そして、いよいよ主治医の説明が始まった

「今回大腸の内視鏡検査を行いましたが、此処に大きな病巣が見え、本来大腸は約1cmのカメラでも入るところが5mm程度しか開いてなく、これ以上奥までの検査は出来ませんでした」

「正式な病理検査結果は明日以降解りますが、形状からみて悪性(癌)と考えられます」

「また、CT検査の結果からみて肝臓のあちこちに影があり、かなり広範囲に転移していると考えられ、最早切除は不可能と考えられます、かなり厳しい状態です。」


その言葉に妻は顔面蒼白、遂に過呼吸になりその場にた倒れ込んでしまった。

車椅子に乗せられ、別室で応急措置を受けることに…

俺はこんな献身的な妻にこんな思いをさせてしまって…どこまで俺はバカな亭主なんだろう


主治医と1対1になってしまった俺、藁をもすがる思いで主治医に尋ねる。

「先生、俺はもう助からないのでしょうか?」

主治医は

「確かに厳しいですが、かといってそれは治療を始めてみないと何とも言えません」

「外科の先生から後で詳しい説明がありますが、本来はすぐにでも原発部分(大腸癌)を切除するのが先で肝臓の抗がん剤はその後なのですが、背に腹は変えられませんので抗がん剤治療を先に行います」

「肝臓を切除出来ない以上、抗がん剤で癌細胞を小さくする他ありません、そこら辺は外科の先生から説明致します」


頭の中に「絶望」という言葉がよぎる…

「あの時ああしておけば良かった」

「もっと早く勇気を出して検査しておけば良かった」


もう頭の中は錯乱状態だった…