広尾ガガーリン(中編) | GOLF JAM

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鏡と睨み合ったまま逡巡していると、店内に新しい客が来店した。




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見るからにセレブ。いや、セレデブか。厚化粧に茶色く染めた髪の装いはまさにワンピースのビックマム。ちょー強そうだし威圧感がハンパない。







ビックマムは来店した足取りそのままに店内を見渡す。







「これとあれちょーだい。」














オーケー、ビックマム。






ちょっと落ち着こうよ。





来店して3分も経ってないよね。買うまでが早過ぎやしないかい?それじゃあカップラーメンすら出来上がらないんですけど。もしやバリカタ派?あっ、カップラーメンなんて庶民の食べ物知らないよね。化粧も厚いけどお財布の中身もやっぱり厚いのですね( ̄ー☆



一般ピーポーには理解できない買い方だ。










おっと失礼。話が逸れたので元に戻そう。






僕はまだ脳内勘定を続けていた。痺れを切らしたのか、店員がそっと声をかけてきた。




「そのサイズ、新作ですが最後の一品です。」









なぬ⁈( ̄ー☆



店員さんよぉ。それは行き過ぎたセールストークだぜ。たとえこの店舗がラス1だったとしても全店舗の在庫は別さ。脅迫じみたセールスは時に人を不快にさせるのだよ。























マジ⁈:(;゙゚'ω゚'):




僕はきっと運命の出会いをしたのだ。このウェアを着るために生まれてきたと言っても言い過ぎじゃない。ウェアの色も白だし見方によっては宇宙服にも見える。今日の僕はガガーリンなのかも知れない。いや、きっとガガーリンなのだ。






意を決し、「買います。」と発言しようとした瞬間、衝撃が走る。





僕は最後の一品であるそのウェアが黄ばんでいることに気づいたのだ。






つづく