「し、翔香ちゃん……本当に“あの”葵様を知らないの!?」
「知らないの!?」
私が尋ねると、麻穂は逆に尋ね返してきた。
……ついでに蓮さんも。
「元パリコレトップモデル。未だ42歳にして世界美女100選、第12位!!42で、だよ!?」
知らない、と答えると、麻穂は興奮気味にそう言う。
「しかもッ!秘書ちゃんも眼鏡美人!」
……ついでに蓮さんも。
「ほらね、会ってみたくなったでしょッ!?」
「……あぁ……いゃ、悪いけど私あまりそういうの興味ない」
「何だよぉ。行こー、蓮」
「後悔しても知らねーぞ!行こー、麻穂」
ただ動くのが面倒なだけなのだが、頑なに断ると、あのバカップルは私を諦めてエントランスの方へ仲良く立ち去った。
……4年前、私が入社した時から、社長には今まで一度もお会いしたことがない。
確かに、入社当初はお会いしてみたい、という気持ちはあったが、流石に4年お会いしていないとなると、正直今更お会いして、……だから?という考えに至る。
窓からちらりと外を覗いてみると、この暑い中芸能人の出待ち並の人、人人人人人人……。
「あんな所にいたら酔いそう」
がらんとしたオフィスを目の前に、1つ溜息。
全く……どいつもこいつもちゃんと仕事しなさいよね。
まぁ、幸い今日は平日、しかも午前中。
あまり大変な仕事が舞い込んでくることは無いだろう。
プルルルルル……
そんな事を思った途端、予想に反し一本の電話が入った。
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