「分かりました。話を通しておきます」
「お願いしますね。妃さんのアイディアには感動させられました」
「ッ、ありがとうございます!!」
「ではお二方、詳しい契約はまた後日。遠方までいらしてくださりありがとう。 ━━━お二方をお送りしてくださる? 」
ドアの方にはいつの間にいたのか、使用人さんが立っていて、美琴様の指示にかしこまりました、と礼をする。
「失礼します、美琴様」
さっさと荷物を纏め、立ちあがる梶本雪也。
私も後を追うように立ち上がり、美琴様に一礼して立ち去ろうと ━━━するが、
「妃さん」
という美琴様の言葉で足が止まった。
「葵さんに言っておいて欲しいことがありますの。『“Produit”社は優秀な人材が集まっていますね』、と」
葵……社長の、高嶺葵さんのことだろうか。
「社長と……お知り合いですか?」
「ええ、葵さんと、……“Compania”社社長、零さんは私の最初の教え子なの」
「……存じております。美琴様は美容学校の教授をなさっていたのですよね?」
同じく足を止めて会話を聞いていた梶本雪也が口を挟む。
「まぁ……教えたときは私も社会人1年目。まだ“専任教師”という立場でしたけどね」
梶本雪也にそう返事を返し、懐かしむように遠目を見ている。
「 ━━━分かりました。社長も、喜ぶと思います」
静寂を破る様に、そう発する。
「ふふっ、引き止めてしまってごめんなさいね。お帰りの際はお気を付けて」
お金持ちなのに謙虚で、礼儀正しい人だと思いながら屋敷を後にした。
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