今回のお題は二つ:
■共和政ローマ デナリウス銀貨(79 B.C.)
■ある古代貨の昔の価格
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■共和政ローマ デナリウス銀貨(79 B.C.)
#Yahoo時代に記事にしたコイン(写真は撮り直している)。
発行責任者:ティベリウス・クラウディウス・ネロ
発行地:ローマ
表面:ディアナの紐冠を付けて衣をまとった右向きの胸像。弓と矢筒を肩に掛ける。前方にS C。
裏面:右向きのビガにヴィクトリィ、ヤシを持つ。余白にTI CLAVD TI F(モノグラムとしてAVDかVD)/AP N(モノグラムとしてAP)。下に管理番号(時にAより始まる)。
第36回のAWの以下のコインと同タイプ。
ティベリウス・クラウディウス・ネロという名前が引っかかる方もいると思うが、発行者は皇帝ティベリウスの祖父である。
《データ》
カタログ番号:Sear310
年代:79 B.C.
発行枚数:-
重量:3.64g(17.45mm)
材質:銀
状態:販売社EF
※《ROMAN COINS AND THEIR VALUES VOLUME ONE》(著:David R Sear、発行:Spink)より。
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■ある古代貨の昔の価格
先日、偉大なるタダノコレクター氏が、古代貨の人気について書いておられた。
その時、わたくしはコメント欄で「私は十数年前から収集を始めましたが、感覚的な話でいうと一回下がっていたのではないかなと思っています。」といったことを書いた。
これについては過去の価格を調べれば済むことなのだが、どうにも面倒くさい(^^;
そこで、何かいい方法がないか考えたのだが、手持ちに良い情報があった。実際にはここ十数年の動向ではなく、おそらくもっと古い情報だと思うのだが、古代貨の価格が上昇一辺倒でなかったことは例示できるだろう。
①タルソスのスターテル銀貨(ca. 361-328 B.C.)
前に紹介したこのコイン。
前の保有者(Robert Smullyan Sloanさん)のメモ:$1800
私の入手価格 :$850(手数料込みで$990)
うむ、いい感じに半壊しておりますな。
ロバートさんが入手したのは1972年創業の古代美術のディーラーで(コインだけでなく彫刻なども扱っている)、顧客には有名な美術館などが挙げられている。
店販とオークション、あるいはNGCでTooled判定されたことなどを割り引いて考える必要があるが、それにしても大きな下落というものだ。
②ティトゥスのセステルティウス黄銅貨(A.D.80)
こちらも前に紹介したコイン。
前の保有者(Robert Smullyan Sloanさん)のメモ:₣975 ※スイスフラン
2023/5/14のオークション :$400(手数料込みで$480)
私の入手価格 :$600(手数料込みで$720)
このコインについては一回別な人の手に渡った後、すぐに放出されて私が高値で奪いに行った(^^;;;
以前書いたが、ロバートさんは、このコインをスイスのプライベートバンクから分離したコイン業者から入手している。その会社は現在定期的にオークションを開催しているが、当時からオークショナーであったかは不明である。
入手時期も不明であり、スイスフラン/ドルのレートを導き出すことはできないが、1980年代から2010年代に収集していたとすると、1フランは0.4~1.0ドルといったところだろう。
※1980年代から2010年代
ロバートさんは約30年間コイン収集をしていたそうだ。亡くなったのが2013年なので1983年頃が目安となる。
なお、スイスフランは変動がありつつも、長期的には上昇しているので1フラン=0.4ドルというのは、よほど収集初期に入手した場合になる。また、当時は当然スラブには入っていないので、その分は上乗せされてもしかるべきだ(一方で、下振れ要因として店販であった可能性がある)。
#メモの紙質からするとそこまで古そうには見えない。
とすると、1フラン=0.4ドルという下限を想定したとしても、(誰かさんが強奪する前であれば)ほとんど騰がっていないということになる。
下限の想定で五分といったところなので、実際にはまず下落したと見て良いだろう。
少ないサンプルではあるが、長い目で見ても必ずしも上昇するものではないという事例をお見せできたと思っている。
まあ、ブログ主は株式投資家歴が長いので、ずっと上昇しますといった意見には、まずあり得ないでしょというスタンスなのだ。