2月のHeritage Auctionで入手したコイン。

――――――――――――――――――――――――――――

■アンティオコスⅢ世(大王)のテトラドラクマ銀貨(ca.211-208 B.C.)

 

発行地:オロンテスのアンティオキア。

発行者:アンティオコスⅢ世(大王)。

表面:アンティオコスⅢ世の紐冠を被った右向きの頭像、ドライで自然なスタイルと成熟した顔立ち、こめかみで薄くなった前髪、耳の上の角。ビーズと糸の境界線。

裏面:BAΣIΛEΩΣANT-IOXOY。アポロンがオンファルスの左側に座り、右手で矢を試し、左手はすぐ後ろに接地した弓に置き、グリップには4つの小球で印が付いている。外側の左の余白にΩ/Ρ

 

◇アンティオコスⅢ世

 

セレウコス朝シリアのアンティオコスⅢ世。

セレウコス朝は建国当初ディアドコイ戦争のために西方に注力していたが、やがてバクトリアやパルティアが独立し、東方の領土を失ってしまう。

 

この状況下で、アンティオコスⅢ世は自ら遠征を行い、アルメニア、パルティア、バクトリアを服属させることに成功する。これによって大王と呼ばれることになる。

 

しかし、アンティオコスⅢ世の栄光はここで終わる。

カルタゴ、マケドニアを破ったローマと対峙、小アジアのマグネシアの戦で大敗を喫すると、セレウコス朝は再び衰退の道を進むことになる。


◇AW 第36回オークション

 

先日のAWでは、アンティオコスⅢ世の以下のコインが出品されていた。

ここ数カ月、アンティオコスⅢ世のコインはHeritageでも出品されている。

#ただし、以下のコインはHeritage由来ではない模様。

 

ただし、Heritageでも同じ年代、同じ発行地というわけではなく、多彩なタイプがあるようだ。

上の説明文はHeritageからの和訳だが、顔立ちについての記載が妙に細かいのは、そのあたりのタイプの違いを考慮してのようだ。

 

 

◇全盛期のアンティオコスⅢ世

 

AWの出品物は、195-187 B.C.ということなのでローマと対決、あるいは敗北後のものになる。

 

私の方はca.211-208 B.C.なので、遠征中もしくはその前後ということになる。ちなみに、この時、アンティオコスⅢ世は30代前半なので若い風貌になっている。

 

表面はなかなか上手く撮れなかった。まあChXFなりか。

 

裏面は結構しっかり。

Heritageに出品されたコインを見ると、これよりグレードが良いものでも、裏面がいまいちなものが多かった(私目線)。

グレードは気にせず、自分で納得したものを入札したつもりである。

 

 

少し斜めから撮るとレリーフの高さが分かると思う。

 

アポロン(男神)のはずなのだが、何だか肉感的だ。

 

ちなみに、説明文を見ると、耳の上に角があることになっている。どうやらこれ。

とても控えめで、状態が良いものでも分かりにくい(というか判然としない)。原物を見ても、これがそうかなぁというくらいだ。

 

《データ》 

カタログ番号:Sear6934類似、Orontes Series 2、SC 1043.8

年代:ca.211-208 B.C.

発行枚数:-

重量:-

材質:銀

状態:ChXF (Strike:5/5、Surface:4/5)

※参考

《GREEK COINS AND THEIR VALUES VOLUME2・ASIA and AFRICA》(著:David R Sear、発行:Spink)。

及びHeritage Auctionの説明文。

――――――――――――――――――――――――――――

■Heritage Auction

 

5月のオークションのどれかに入札しようと思っていたのだが、止めた。

安定収入がないのに、AWから連続で入札してもな!

 

次回のAWを見て、物足りないなーと思ったら手を出そうかと思っている。

 

あと一定の枚数に留めておきたいので、次々回のAWへの出品も考えている。また金貨抱き合わせになると思うが(^^;