■Heritageに入札した話②
Heritageで月初に落札したコインを受け取った。
今回は代行時の落札から受け取りまでを時系列で書いてみよう。
6月 4日(日)入札依頼(ブログ主)
6月 5日(月)入札(代行業者)
6月 8日(木)オークション当日
6月10日(土)落札報告(代行業者)※9日(金)の深夜帯。
6月12日(月)入金(代行業者)
6月19日(月)コイン到着報告・請求書送付(代行業者)
6月19日(月)入金(ブログ主) ※業者の定時後。
6月21日(水)発送(代行業者)
6月22日(木)コイン到着(ブログ主)
Heritageは発送が遅いという記事も見たことがあるが、実際はそれほど時間をおかずに発送されているようだ。業者相手だからかもしれないな。
オークション当日から約二週間で受け取れるというわけだ。
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■アルタクシアス朝ティグラネスⅡ世(大王)のテトラドラクマ銀貨(ca. 80-68 B.C.)
◇概要
発行:ティグラネスⅡ世(大王)/ティグラノケルタ。
表面:衣をまとったティグラネスⅡ世の右向きの胸像、鷲の間の星で装飾されたアルメニア式の冠を被る。縁どられている。
裏面:岩の上に右向きで座るアンティオキアのテュケ、棕櫚を持つ。彼女の足元に泳ぐオロンテス。右にΒΑΣΛΕΩΣ、左にΤΙГΡΑΝΟΥ、岩の上にΣΩのモノグラム、栄冠による境界線。
※アンティオキアのテュケ
テュケは都市の財産と繁栄の女神。
※オロンテス
現在のレバノンに発し、シリア・トルコを流れる河川。ここでは擬人化されている。
《データ》
カタログ番号:Sear7202/Kovacs 75.1.
年代:ca. 80-68 B.C.
発行枚数:-
重量他:27mm, 15.61 gm, 12h
材質:銀
状態:Ch XF(Strike:5/5, Surface:3/5)
※参考
《GREEK COINS AND THEIR VALUES VOLUME・2 ASIA and AFRICA》(著:David R Sear、発行:Spink)
及び、Heritageの説明。
◇ティグラネスⅡ世(大王)
ティグラネスⅡ世はアルタクシアス朝アルメニアの王。
当時、セレウコス朝シリアは弱体化し、その宿敵であったパルティアも内紛状態にあった。そこで、長駆南下してシリア一帯を制圧し、諸王の王を自称する。
かくして一世を風靡するのだが、黒海付近に勢力を伸ばして来たローマと対決することになり、二度の戦いに敗れて本国のアルメニアを維持するだけに転落してしまうのだ。
このティグラネスⅡ世、大王というわりに残念なエピソードが多いのだが、今日のアルメニアでは英雄とされており、紙幣や勲章に取り上げられている。
◇ティグラノケルタ
発行地のティグラノケルタは、ティグラネスⅡ世が建設した都市。
アルメニア本国ではなく、現在のトルコ領内にあった(遺跡は発見されていない)。
裏面のデザインはセレウコス朝の都市であった「アンティオキアのテュケ」だが、このコインはティグラネスが大勢力を築いた後に発行したものになる。
「アンティオキアのテュケ」と「オロンテス河」の組み合わせは定番であったらしく、彫刻にも刻まれている。
◇その他
今回の本命。
一見して珍しそうなコインだが、確かに珍しい(AWでは登場したことがない模様)。
ところがHeritageでは今年の2月くらいから大量に出品され始め、毎週数枚のコインがオークションに掛けられている(記事にしていた方もいらっしゃったな)。ということで、特徴的なデザインにも魅かれ、取りに行くことにした。
そのわりに大したことがないグレードだが、これより高いと競り上がる可能性があるで妥協した。
ちなみに、例によって特徴的な図案が全て収まっているものを選んだ。
アルメニアの冠。
二羽の鷲の間に星。冠の上の突起物も収まっていて欲しい。
オロンテス河はここ。