旅館の仲居に配属された。
着物を着て、お客様が来たらロビーにお迎え、部屋へご案内。
夜は、宴会の料理を運び、片付ける仕事だった。
着物を着るのか、ワクワク。
派遣元から「長年勤めているパートのおばさんが、着付けを2日間、丁寧に教えてくれる」と聞いていた。
着付けを教えてもらいに、地下へ降りた。
👩「初めまして、よろしくお願いします。」
👵「はー。派遣かなんか知らないけど、皆すぐに辞めていくから。毎回教えるの嫌なんだよね。」
👩「え………」
👵「着付けの研修は、今日と明日の2日だけ。それ以降は絶対聞かないで!体で覚えて!」
イライラした口調で、早口で教わる。
着付けは難しく、1日目は全く覚えられなかった。
2日目、研修の時間の10分前に地下へ降りる。
時間になっても、パートのおばさんは現れなかった。
20分、30分、時間が過ぎていく。
事務所へ行き、
着付けの担当がどこにいるか聞いた。
皆、分からないと言う。
そして、ようやく、見つけた。
👩「あ!今日着付けの時間、変更になりましたか?」
👵「………」
👩「あの………」
👵「皆聞いてよ!!この派遣、着付けの研修すっぽかしたのよ!私40分も地下で待ってた!!もう教えない!!」
え……………
周りは白い目で見ていた。
このおばさん、怖すぎる。
着物が着れないと、仕事ができない。
地下に降りていったおばさんを追いかける。
👩「あの、教えてもらえませんか。」
👵「…………」
👩「ずっと待ってました、すっぽかしてません。」
👵「あんた、時給1000円でしょ。知ってるんだから。私たち730円よ。20年働いてるの!だからあんたらみたいな派遣、ダイキライ!!」
え………
怖くて震えた。泣きそうだ。
いじわるされる理由は、時給なのね。。。
派遣の方が高いから。
このおばさんに教えてもらうのは、諦めよう。
気持ちはわかる。
私は仕方なく、ネットで着付けの方法を検索した。
徹夜で、なんとか着付けることが出来た。
着物のまま、ベッドに倒れ込んでいた。
リゾートバイト、イメージと違う。
いじめがあるのね。。。
やっぱり来るんじゃなかった。
お母さんが正しかった。帰りたい。