*マッチ売りの少女* | *華ミズキ~幸せの架け橋の風船~*

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風船がたくさんの方の幸せの架け橋となりますように☆

願いを込めて…♪

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それは大晦日の夜のことでした。
「マッチはいかがですか。マッチを買ってください」貧しい身なりの少女が
街角でマッチを売っていました。
街は、暮れの買い物をすませた人々で賑わっていましたが、少女の声に振り返る人は誰もいません。
やがて雪が降り始め、皆、足早に家へと帰っていきました。
「お願いです。マッチを買ってください」
少女は必死に頼みましたが、マッチを買ってくれる人はいませんでした。
少女は家に帰ることもできず、人通りのなくなった街をとぼとぼと歩き始めました。
家々の窓には明かりが灯り、部屋の中からは楽しそうな笑い声が聞こえてきます。
「おかあさん、おばあさん…。どうして私をおいて天国に行ってしまったの?」少女はそうつぶやくと、涙をこぼしました。




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寒さのあまり、少女の手足は凍りつきそうでした。
息を吹きかけても擦っても、少しも温かくなりません。
「そうだわ、マッチを擦れば温かくなるかもしれない」
少女は持っていたマッチを取り出すと、火をつけました。
小さな炎がぼんやりと辺りを照らし、少女の凍えた手を少しだけ温めてくれました。




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そのとき、不思議なことが起こりました。
小さな炎がパッと輝いて辺りを明るく照らすと、
少女の前にストーブが現れたのです。
「わぁ、ストーブだわ。とっても温かそう…」
少女は凍った手足を温めようとストーブに近づきましたが、ストーブは、あっという間に消えてしまいました。
「待って、消えないで」
少女は急いでマッチを取り出し、もう一度火をつけました。
すると、今度は炎のなかからおいしそうなごちそうがたくさん現れました。
「七面鳥にケーキまで。おいしそう…」
少女が手を伸ばすと、ごちそうは消えてしまいました。



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少女は、またマッチを取り出して火をつけました。
炎が輝いて、昼間のようにパッと明るくなると突然、夜空に大きなクリスマスツリーが現れました。
「まぁ、おばあさんが生きていた頃、一緒に飾ったツリーよりも大きくて立派だわ」
少女はうっとりと夜空を眺めています。




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そのとき、流れ星がひとつ、スーッと落ちていきました。
「あ、流れ星!誰かが天国に召されるのね。おばあさんがそう教えてくれたわ」少女はやさしかったおばあさんを思い出しながら、
ふたたびマッチに火をつけました。
すると輝く炎のなかから、おばあさんが現れました。
おばあさんはやさしく微笑み、少女に手をさしのべました。
「おばあさん、おばあさん!」
少女は泣きながら、おばあさんに抱きつきます。
「マッチの火が消えると、おばあさんも消えてしまうの?いやよ、私もおばあさんと一緒に天国へ連れて行って!」
少女が泣きながら残りのマッチに火をつけると炎はまぶしいほどに光を放ち、夜空を照らしました。
そのとき、二人の体はふわっと舞い上がり、キラキラと輝きながら、空へと上っていきました。


翌朝、教会へ向かう人々は、倒れている少女を見つけました。
「こんなに小さい子がかわいそうに…。マッチの火で温まろうとして、死んでいったんだね」
しかし、少女の顔には苦しみも悲しみもなく、微笑みさえ浮かべているように見えます。
人々は泣きながら少女を抱き上げ、教会に連れて行きました。
天国でおかあさんとおばあんに囲まれた少女は、人々の親切な心に感謝しながら、みんなが幸せになるように祈っていました。