2/10(木)「応用デニス・ホッパー論」集中講義・第五夜 Key Witness
2/10(木)の「応用デニス・ホッパー論」集中講義の第五夜は、Key Witness (1960)およびTV西部劇「ライフルマン」よりエピソード30「Three Legged Terror」を上映します。前者は俳優でニス・ホッパーにとって文字通りKeyとなる作品で、日本では松竹映配によって『四人の恐迫者』のタイトルで劇場公開されましたが、その後ビデオ化、DVD化などされることもなく、またアメリカでも現時点で入手することは困難なレア映像です。
何がKeyなのかというと、これはある意味でデニス・ホッパーの出演した作品のうちメジャーな人気を誇るすべての作品の要素を内包していてそれらをつないでくれるような作品という位置づけが可能なものなのです。具体的には、『理由なき反抗』(1955)、『イージー・ライダー』(1969)、『ブルーベルベット』(1989)のすべてとつながる要素を持っているということなのですが、まずは上の写真をご覧下さい。ホッパーが着ている赤いジャンパー(実際には映画はモノクロなのですが)は言うまでもなく『理由なき反抗』でジェームズ・ディーンが来ていたものを髣髴とさせるものであり、しかもそのときにディーンにちょっかいを出す不良グループでリーダー=コーリイ・アレンの三の子分くらいの役を演じていたホッパーが、ここでは不良グループのリーダーとなっており、当のコーリイ・アレンがその部下になっている、という逆転現象が起きています。つまり、『理由なき反抗』から5年が経過し、誰がジェームズ・ディーンの後継なのかがハッキリしたというわけですね。また、ここでのホッパーは写真のごとく『イージー・ライダー』を髣髴とさせるオートバイで登場します。さらに、ストーリーのほうは、人を殺すことをなんとも思わないホッパーがある若者を刺し殺したところを目撃した堅気の主人公ジェフリー・ハンターが警察に目撃者として証言したことから、ホッパー一味がハンターとその家族とを執拗に脅迫して震え上がらせる、というもので、これは『ブルーベルベット』にも通じる内容、というわけです。
当日は、詩人で映画評論家の園田恵子さんがゲストとして参加してくれる予定ですので、お楽しみに。(谷川)