北朝鮮の「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイル発射に際し、政府は
国民への情報発信に完全に失敗した。発射をただちに覚知しながら裏付
けに手間取り、「発射は未確認」と発表した約20分後に「飛翔(ひしょう)体
が発射された」と説明するなど対応は二転三転。Jアラート使用は日本飛
来時に限るとの方針を自治体に周知することも怠り、民主党政権の危機
管理能力に不安を残した。
「どういう内容で出すべきだったか。出すべきであったかを含め、検証が
必要だ」。藤村修官房長官は13日昼の記者会見で情報発信のミスを認め
た。
防衛省は発射直後の午前7時39分、発射の熱源を捕捉する米国の早
期警戒衛星情報(SEW)を把握した。ほぼ同時に藤村氏や官邸の危機管
理センターに設けられた対策室にもSEWの連絡があった。
ところが、対策室が「Em-Net」(エムネット)で全国の自治体に一報を
流したのは約20分後の午前8時3分。しかも「わが国としては発射を確認
していない」という内容だった。さらに約20分後、田中直紀防衛相が「何ら
かの飛翔体が発射された」と正反対の内容を発表した。
「3年前の経験もあり、必ずダブルチェックする態勢だった」
藤村氏は発表が遅れた理由をこう説明した。2009年の前回発射時、実
際には届いていなかったSEWが「発射情報」としてエムネットで流れたこと
を教訓に、慎重を期したと強調したいようだ。
官邸対策室は、防衛省からSEWが裏付けられたと連絡が入れば、エム
ネットなどで発信する段取りを描いていたが、発射失敗で自衛隊レーダー
は探知に至らず、その間に外国メディアが「発射」と速報した。
これは官邸が事前に作成した対処要領にはない「想定外」の事態。慌て
て「発射未確認」を第一報としてエムネットで流し、混乱を広げた。この第
一報は対策室長である米村敏朗内閣危機管理監が判断し、藤村氏は事
後で知ったという。
発射を認めた田中氏の発表も「想定外」。発表は官房長官に一本化する
はずだったが、官邸の了承のないまま田中氏が先走った。
防衛省では早速、エムネットの問題について箝口(かんこう)令が敷かれ
たが、本末転倒といえる。真摯(しんし)な反省と徹底した検証がなけれ
ば、予告なしでの弾道ミサイル発射や原発テロなど北朝鮮のさらなる挑
発に対応できるはずもない。
どこまで国民を愚弄すれば気が済むのだろう( ̄へ  ̄ 凸