毎度のことなのでべつにいまさら驚きもしませんが、大幅に予定がずれこんで、入荷したシャンブレー・シャツです。


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 ボタンは白蝶貝の削り出し。

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 しかしながら、さすが半年近く待たせるだけのことはあります。ぶっちゃけ、この生地のツラ(ムラ)感はヤバイっす。実は力織機を使って、シャンブレー地のようなこの手の薄手の生地を織り上げる(ある程度の範囲内でテンションを保ちながらムラ感のある表情に仕上げる)ことは、14ozとかのしっかりした厚みのある生地を織りあげるよりも高度な技術、職人の技が要求されます。


 つまり、薄い生地のほうがずっと織りキズが出やすいので、糸の調整(張りぐあい)により神経をとがらせる必要があるからです。ましてや縦、緯糸ともに、ひょっとしてこれはスラブ糸じゃねえの?と思わせるほどのムラ糸っぷり。いやいやこれでアジのない表情に仕上げろと言う方がよほど難しい。この生地じゃ実際に反物に上がるまでにそうとう試行錯誤があったであろうことは容易に想像がつくし、時間がかかったのもムリからぬことと、もの言わぬシャツを見ながら妙に納得させらました。


 元にしているカタチは、誰が何と言おうとLeeの1940年前後であることは’80~90年代にメンズファッション誌によって徹底的にヴィンテージ煽動教育を受けた世代であれば、わりと簡単に思い出せるのではないかと思います。


 一見、ポケットにフラップが付いただけのありがちな着丈の長い(ベタな)ワークシャツだと思った方、全然違います。もう一度よーく見てください。ARMY、NAVYものなんかによく見られるたーだ長いだけのシャンブレーとは裾のライン、カッティングが全然ちがいます。

 

 つまりセンターに向かってにラウンドしながら尖っている。あるいはサイドへの切れ込み角度が鋭い。ここがミソなんです。このさりげないシルエットの違いが実は大きいんです。


 まとめると、オールドにしては小ぶりで控えめな印象の襟。パッとみ左右対称の胸ポケットに優しいイメージを与える丸みのあるフラップまで付いて、オーソドックスな(おとなしい)印象をあたえて油断させておきながら、大胆にアールしながら切り取られた裾のラインはさながらチャイナドレスのスリットを思わせる危険な香り。この相反する要素がひとつのシャツに同居するアンビバレンツ。これこそがこのカタチのさりげなく、そしてえもいわれぬ魅力なのかなと思います。だから、まるでカバーオールのような感覚でバサッとオープンにして羽織ると、このシルエットが活きるんですよ。大げさですかね(笑)



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