<アメリカチョウセンアサガオ>ジョージア・オキーフ 1932年 個人蔵
一昨日の記事(残暑お見舞い申し上げます )で夾竹桃のことを書いたんですが、キョウチクトウとノウゼンカズラ以外にも、強烈な毒を含むあでやかな夏の花があるじゃん、と思い出しました。ジョージア・オキーフが好んで描いたことでも有名かな。キチガイナスビとも曼荼羅華とも呼ばれる、チョウセンアサガオです。
花の直径は、大人の男のこぶしくらいありそう。夕顔の花も目立つけど、チョウセンアサガオも大きくて遠くから開花を確認できるです。Wikipediaのチョウセンアサガオ の項を読んだら、10~15センチ程度の漏斗状の花を咲かせるとありました。郷里の秋田では見たことがなかったので、初めて目撃したときは「なんじゃこりゃ」と、ぎょっとしましたよ。
上の画像は1993年に横浜美術館で開催された<ジョージア・オキーフ アメリカン&モダン」の図録から。久しぶりに開いたんですが、図版の色もいいし、解説、年譜などの内容・構成がしっかりしていて、とても良くできている本ですね。絵を見に行くたび、図版を買うか買うまいかを悩むんだけど(お財布に超響くので・笑)、これは買って大正解。オキーフの花の絵は、真上から覗き込むようにしたアングルのものが少なくない。チョウセンアサガオ、ペチュニア、グラジオラスなど、彼女が好んだ題材(花)に漏斗状のものが多いのは、上から見たときの奥行きが画面に面白い効果をもたらすからかもしれませんねえ。
あわわ。ハナシがずれてしまった(笑)。毒ですよ、毒。荒俣センセイの「花の王国2薬用植物」平凡社
アサガオに似た花をつけるのでこう呼ばれるが、ナス科に属し、アサガオの近縁種ではない。ヒヨスやトリカブトとならぶ有名な毒草で、日本では最初の麻酔薬として知られる。p70
荒俣宏「花の王国2薬用植物」平凡社
毒の正体(?)はヒヨスキアミンというアルカロイドの一種だそうです。チョウセンアサガオには、白花のほか、ピンク、オレンジ、黄色などの色花を付ける木立性の種類もあり、エンジェルトランペットという園芸名をご存知の方も多いのでは。昔は白花と色花を区別せずに、いっしょくたにチョウセンアサガオといってましたが、近年、主に色花を付ける種類をキダチチョウセンアサガオ属 に分けたらしいです。
もうちょっと詳しく説明いたしますと、白い花が上向きに咲くチョウセンアサガオは1年草。一方、色花が下を向いて咲くキダチチョウセンアサガオは、<木>なんですね。草と木という大きな違いがあるのに、なぜ名前が一緒なのかずっと不思議でしたが、別属に扱うようになったことを知ってほっとしました(なんか違う?)。
編集者時代、職場のあった代官山には、今はなき同潤会アパート(1927年竣工。草創期の日本の集合住宅)が建っておりまして、おしゃれで小さな美容室や洋服屋、小規模なアパレル関連のメーカー等々と一般の方の住宅が混じる、興味深いエリアを成しておりました。仕事の合間にお昼ご飯を代官山食堂に食べにいったり、洋服屋さんを冷やかしたり、小物を撮影するロケーションに使ったりもしたな~。
道路沿いのある棟の庭に植えられていたのが、大きく育ったキダチチョウセンアサガオ。夕闇に浮かぶように咲く大量の花を見上げるたび、「すごいな~」とあまりの非現実感に口を開けて(たぶん)おりましたよ。再開発のために同潤会アパートが取り壊されてから、用がなくなったこともあって代官山にはとんと出かけなくなりましたが、「あの見事な花を咲かせる木はどこへ行ったのだろう」と、ふと思います。どこかに移植されて、咲き続けてるといいなあ。