スカイ
森博嗣 「スカイ・イクリプス」中央公論新社

映画「スカイ・クロラ」の公開日は、「スカイ・クロラ」シリーズの最終巻である「スカイ・イクリプス 」の表紙に貼られたシールで知りました。「アニメの完成が楽しみ~」と心待ちにしていたわりには、なんて原始的で受動的(笑)。

作家として森さんは、かなりのくせ者(いい意味で)とお見受けしてます。特にスカイ・クロラのシリーズは、発表順に読んじゃうと、お話の流れがちんぷんかんぷんになるという手ごわさ。5冊めの「クレィドゥ・ザ・スカイ 」が出た時点で「こう読むべし」という正しい(?)順番が、氏のウェブサイト森博嗣の浮遊工作室ミステリィ制作部 で紹介されてました。最初に教えてほしかったよ(笑)。

1 ナ・バ・テア
2 ダウン・ツ・ヘヴン
3 フラッタ・リンツ・ライフ
4 クレィドゥ・ザ・スカイ
5 スカイ・クロラ
6 スカイ・イクリプス

初めて読む方は、こう進むとよろしいかと思います~。

映画の公開前にシリーズ6作目にあたる短編集が出ることを、森さんのサイトで読んでいたので、アマゾンにしっかり予約。けっこう熱心なファンみたいで、恥ずかしいなり(;^_^A。 この本には30ページ前後の短篇がが8つ収められていまして、それぞれ主人公が異なります。上の1~5までを5作で構成される大きな絵になぞらえるなら、6冊めの「スカイ・イクリプス 」は、絵の部分を拡大した図版のよう。「スカイ・クロラ」シリーズの補遺のような作品といってもいいかもしれません。

空 スカイ・イクリプスの裏表紙の部分

内容にあまり触れるとネタばれになって他の方の楽しみを奪いそうなので、控えめにしか書きませんが、読みながら「ああ、やっぱり…」と思ったのが、2番目の「nine lives(ナイン・ライブス)」。

ゴーグルを一度外し、冷たい新しい空気を入れる。
深呼吸。
首を左右に捻った。
肩を軽く上下させる。
力を抜け。
流れるように。
奇麗に飛ぼう。
それだけを考える。 p63

ほとんど草薙水素(すいと)のことを描写しているようですが、違うんだな。これはたぶんティーチャのことでありましょう。ううむ。水素とティーチャは、ここまで同族だったのか。性は異なるけど、きわめて似たキャラのふたりが出会った時、どういうことが起こるのかを、私の好きな「ナ・バ・テア 」は描いているのかもしれないです。あと、タイトルのnine lives(ナイン・ライブス)が妙に気になる。9回の人生ってことですかしらね。とすると水素は…。また、全部読まなきゃ。

ぼく
こんな感じで、収録された8つの短篇を読むうちに、スカイ・クロラのお話に深みが出るという体験ができるんですが、1981年に発行された内田善美「空の色ににている 」ぶーけコミックス も、同じテーマを扱っている作品ではないかね、とトートツに思いつきました。

たしか(本は実家にあるので記憶とアマゾンのレビューを元に書いてます)ヒロイン浅葱(あさぎ)は、感性の似た者と、自分に欠けている要素をもつ者の違いについて、陸上競技少年である蒼生人(たみと)に、シェル・シルヴァスタイン 「ぼくを探しに」講談社 を例に説明するんですね。

似た者はいっしょに歩める--と「ナ・バ・テア 」とは逆方向に話が帰結したと思うんだけど、どうだったっけか。肝心のところがぼんやりしてて、自信ないです(笑)。今度帰省した時に、マンガの棚を掘って確認してみようと思います。そ、それにしても内田善美のアマゾンでの値段が…。プレミアついてる(@_@)