マーガレット
マーガレット・ハウエルの「家」 (大型本)

ファッション関係のお仕事をされている方が、インテリアに凝っている場合が多い、と書いて、この本のことを思い出しました。マーガレット・ハウエルの「家」 (大型本)集英社 、2006年です。私物の奥付けを確認したところ、06年12月の3刷。初版は10月末に出ているので、約2カ月の間に3回も増刷されているんですね~。売り上げ、好調です。

初出は「LEE」誌上だったらしく、連載中から注目していた読者が多かったのかも。フリーになってから私はほとんど雑誌を見なくなったので(おいおい…・笑)、たまたま東京・吉祥寺で入手した、<LEE特別編集マーガレット・ハウエルの「家」出版記念展>のチラシで、本のことを知りました。「行くぞ~!」と楽しみにしていたものの、もたもたしているうちに会期が終わってしまったよ(^_^;)。いやはや。

表紙にもなっている空間が、マーガレットさんのご自宅かと思いきや、こちらはサフォーク州の海岸近くに建つセカンドハウス。目につく家具のほとんどが、イームスやアアルト、アーコールといった、第二次世界大戦後に多くの人に使ってもらうことを想定して、デザイン・生産されたミッドセンチュリーもの。花瓶や食器などの小物の多くもこの時代の製品だし、容れ物である建物だって同時代という徹底ぶり。ミッドセンチュリー風ではない「本物」が眺められます。ミッドセンチュリー好きには、「これは○○デザインの△△だね」と、絵解きのような楽しみ方ができそう。

36ページ以降は、一転して懐かしい感じのロンドン市内のご自宅。こちらは築100年以上経った建物(様式はエドワディアン)で、内部は「昔から使ってます」的な、もうちょっと気ばらないテイストですね。とはいっても、ミス・マープルが座っていそうな、いかにもイギリスな感じのお住まいではなく、白い壁と家具や小物などに使われている木材の色が白っぽく薄いあたりに、マーガレット・ハウエルだな~という印象をもちました。

イギリスには昔から、ウィークディはコンパクトな街中の住居に住み、週末、田舎のセカンドハウスに出かけて、のんびり羽を伸ばすという暮らし方をしている人々が少なからずいるはず。なので、都会の家と地方のセカンドハウスを、どのように作り分けるのかというノウハウが、たんまり蓄積されているのかもしれません。マーガレット・ハウエルのショップ(たとえばp27)とご自宅、そしてセカンドハウスを見ながら、それぞれの場所で過ごす時間の長さを想像し、くつろげる住空間と周辺の環境との関わりを考えたりしましたです。

まあ、いずれの空間も、テイストは微妙に異なるとはいえ、モノの数があまり多くなく、すっきりと簡素な雰囲気であるという点は共通してますね。ちなみに、モノが増えてごちゃごちゃするほど、床が見えなくなってきます~。と書きながら自分の耳が痛かったりしますが(笑)、シンプルに見えるということは、ひとつのモノに視線が集中しやすいので、モノの存在感が増します。つまり、モノを選ぶ際の審美眼や見識が、いやおうなく目立つんです。

マイナス系のインテリアっていったらいいかな。簡潔な空間のしつらえ方は「和」の伝統にも通じるので、日本人が親近感を覚えやすい趣味。そこに何を置いて、今ふうの空間を作るかということを知りたい時、長年、人気のあるデザイナーとして活動してきたマーガレットさんの審美眼が、ある種のお手本になるのでしょう。

あと、モノの問題だけではないことも大事じゃないかな~。空間ににじみ出るオリジナリティのような空気感は、選んだ家具なり食器なり、小物なりをどう空間に配置し、毎日、どのように使っているかという、とっても私的な生活の反映だったりしますよね。みんなそれが知りたくて、この本を手に取っているのではないか。私は52ページのほか、この本に何度も登場する、台所に立つ彼女の姿に目が吸い寄せられましたわ。

*芋蔓データ*
アーコールの家具など、インテリア用品にも力を入れる
イギリスの MARGARET HOWELL
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