ないものねだり/中谷 美紀
- ずいぶんブログを放置しておりました~。お久しぶりでございます。字を書いていなかった1年以上、何をやっていたかといいますと、ほとんどの時間を睡眠と編み物に費やしてました。ワタシにとって、この両者は幼いころよりひじょーに重要な趣味なので、いい日々だったといえるのですが、デヴ化と老眼化が同時に進行することにも。
で、復帰の1冊目は、中谷美紀のエッセイ集「ないものねだり」マガジンハウス刊。中谷さんが「アンアン」誌上にエッセイを連載されていたのは、なんとなく知っていましたが、それをまとめた本が出ていたんですね。
帯の
「電車のなかで、お風呂のなかで、トイレのなかで
気軽に読んだあとは、忘れていただいて結構です!」
というコメントはご本人のもの。帯では普通、○○な事象を△△と記した画期的な本、素晴らしいので読むべし、と訴えるものですが、忘れてもらってもいいと書いてあるのは初めて見た。帯を作った編集さんはただ者ではありません、きっと。
-- 炊飯器は値段が高いものほど機能が良く、おいしく炊けると言っていたのを思い出して、今までは温度や時間を計りながら作っていた温泉卵も勝手に作ってくれるという、利口な最新機種を手に入れた。(中略)
ペットも居なければ、テレビすらほとんど見ない静かな一人暮らしの我が家に、「白米ふつう、炊飯を始めます」なんて機械の声は鬱陶しいだけで、「ご飯が炊き上がりました。旨味保温を始めます」なんて言われると「余計なお世話だ!」と言いたくなり、これが毎日続くかと、憂鬱になってきた。p112
最近の炊飯器はそんなにしゃべるんですかい。うるさいぞ~。ずっと鍋でご飯を炊いていたので炊飯器事情にうといワタシは、びっくりしながら吹きましたわ。で、吹き終わったあと、中谷さんのモノや自分を見る目線がしっかりしてることに感心しました。観察することが、きっちり身に付いていらっしゃるですね。
まあ、「芸」というものは、自分が何をやっているのかを見続ける目なくして、ありえないものだと思うので、女優の中谷さんがそういう姿勢をお持ちなのは不思議ではありませんが、演技のみならず文章でも表現できるとは。ゴーストライターとして記事や本を作ったこともある経験に照らして、この本は中谷さんご本人がお書きになってると判断しました。
ライターがお話を聞きながら原稿を作った場合、鬱陶しい、余計なお世話、憂鬱等々の単語を一カ所でこんなに連続させないはず。ご本人への遠慮もありますが、テキストがネガティブな雰囲気になりすぎないように気を使うので、この手の単語を選ぶ時は慎重になります。で、この部分は見事に3連発。ゴーストが書いたら、こういうリアルさはなかなかでません。
ちなみに、中谷さんが最初に使ったPCはマックの5300CEだそうです。おんなじ機種、使ってました。う、うれしや。と、ファンなことを告白して終わりにします(笑)。
*唐突に思いついた芋蔓本*
大谷峯子「ファシナシオン」作品社