本上まなみでウォーミングアップを済ませ、入院中に読破するぞ~と思って荷物に入れたメインの本にとりかかりました。
アリックス・ケイツ・シャルマン「雨水を飲みながら」みすず書房、です。
この本を知ったのは
で書きましたが、江國香織のムック「江國香織ヴァラエティ」を読んで。巻頭グラビアのために江國さんがわざわざアメリカのメイン州に会いに出かけた、女性作家のエッセイですね。みすずの本らしく、字がびっしり詰まった持ち重りのする約300ページ。格別あつーい本ではありませんが、独特の重さがあります。選ばれた紙のせいかもしれませんわ。
手術直後から激痛で困ったことはほとんでなくて、イマの医学の進歩を実感しましたぜ~。でーも、全く痛みがないはずはなく、腹筋にちょこっと力が入ると「いって~、いてて」でした(笑)。顔だけで笑っても、腹筋に反射的に(?)力が入ることも発見。にこっとしただけで、お腹に痛みが走るんだよ~、驚いた☆ 傷がまだ痛い時期に、まじめな本を手にとっても果たしてホンの世界に入り込めるのか疑問でしたが、時間がこまぎれにならない今回のようなチャンスはめったにないと考え直し、読み始めましたわ。おしっ、いくぞ(かけ声だけは勇ましい・笑)。
著者のことはムックのグラビアを読むまで全く知らなかったんですが、アメリカのフェミニズム運動を引っ張った超有名な作家さん。100万部を超えるベストセラーも出しているし、結婚協定という記事を書いて’72年の「ライフ」誌の表紙になったこともあるそうです(訳者あとがきより)。フェミニズム界の重鎮といってもいい方のようです。ワタシ、フェミニズム系の方は、ベティ・フリーダンしかしらなかったよぉ(汗)。
ただし、この本の内容がばりばりのフェミニズムかというと、全くそんなことはなくて、著者はひとりで辺鄙な海辺の小屋(電気も水道も引いていない)にこもって、己の内面を掘り下げる作業を繰り返すんです。その過程がじっくり書かれています。
ソローの「森の生活」やアン・モロウ・リンドバーグの「海からの贈り物」に近い印象を受けました。静かで淡々とした筆致は、「フェミニズムの闘士だったのかなぁ、ほんとに??」という温度感だし~。人間の複雑さというか多面性に思いが飛んでいきました(笑)。ネイチャー・ライティングのサブジャンルに含めても良いと、訳者の田崎由布子さんは書かれてます。わしもそう思いますた。
――自分で作るナブル料理も含めてほとんどのエスニック料理が、それぞれの土地の原材料や旬のものを利用することから生まれた、基本料理の組み合わせの単なるバリエーションにすぎないのだということを、あらためてしみじみと認識する。料理法の論理は生活の論理に似ている―店に出かけて何がいいか選びとるのではなく、自分に与えられたものをどう利用できるかということなのだ。p270
*芋蔓本*
レイチェル・カーソン「海辺」平凡社
ヘンリー・デイヴィッド・ソロー「森の生活」岩波文庫
アン・モロウ・リンドバーグ「海からの贈り物」新潮文庫など
*ちゅうい*
みすずの本の著者名はシャルマン。彼女と江國さんの対話が掲載されている新潮社のムックの表記は、原音を考慮してシュルマンとしたそうです。Shulmanだから、シュの方がリアルかな。
