〝わたし〟という
この世界を映し出すプロジェクターは
〝わたし〟が生まれるまえに
〝神〟とよばれる非物質で
不可視の〝わたし〟と
とある契約を交わした
〝この世界に何を
映し出してみるか?〟
非物質で不可視の存在である〝神〟は
わたしにこう尋ねたので
〝わたしは すべてが
愛に変わるところを
ここから映し出します〟
とプロジェクターになる前に契約を交わし
そして〝わたし〟は生まれた
この世界を映し出す〝プロジェクター〟として
契約したものを映し出すために
中には愛と呼べないようなエピソードも映し
根気よく それらの素材が 愛に変わるまで
〝わたし〟は ここから 映し続けた
やがて すべては どんなことも
〝愛に変わる〟ことを 見事に証明し
すべては神との 契約通りだと
どんなことが 目の前に映し出されようと
絶対的な真実を〝わたし〟は映し出した
最初に交わした やくそくを
〝わたし〟は今日も裏切らず
世界というスクリーンに映し続けている
この世界に 映し出されたもの
すべてが 愛に変わる様子を
ここから つぶさに 観察しながら
〝わたし〟は 今日も
このプロジェクターから
愛に変わるまで 映し続ける
すべての映像は 最初の契約通り
神とわたしの 取り決め通り
完ぺきな愛のイマジネーションだったと
すべてが愛に変わり
この契約が満期になって 切れるまで
〝わたし〟というプロジェクターは
今日も 愛に変わる素材を見つけ
ここから 愛を 映し出している