第11章148偈
この容色は衰えはてた。
病の巣であり、脆くも滅びる。
腐敗のかたまりで、やぶれてしまう。
生命は死に帰着する。
中村元博士訳
解説
この句は解りやすい易しい言葉で翻訳されておりますので、解説する必要はないと
思いますが、簡単に要約してみたいと思います。
「容色」は、容貌と顔色のことですが、単に私たちの肉体と考えても間違いはないと思います。「帰着する」は、帰り着く、最終的に落ち着くことです。よって要約してみますと、「この肉体は衰え果てた。この肉体は、病の巣であり、脆くて壊れやすい。腐敗のかたまりで、腐って破れてしまう。生命あるものは必ず死ぬ。」と、このようになるでしょうか。
私たちは生れた瞬間から死に向かって歩んでいます。可愛い赤ちゃんも、一歩一歩死に向かって歩んで行くのです。これが真理であるということをしっかりと認識しなければなりません。また、肉体は、病の巣であり、腐敗して臭気を漂わせながら消滅して行くものだという現実(現在は死体を火葬にしますので、死体が腐敗して行く状況等は観察することはできませんが・・)を観察することによって、死は特別なことではなく、当然の理だということ分かり、死への不安や恐怖が薄らいでいくということです。
日蓮聖人は、まずこの死というものをしっかり学んで、その死を基点として、他のことを学びなさい、と次のように仰せられております。「日蓮幼少の時より仏法を学び候しが、念願すらく、人の寿命は無常なり。出る気は入る気を待事なし。風の前の露尚譬にあらず、賢きも愚きも、老いたるも若きも、定め無き習なり。されば先ず臨終の事を習うて後に侘事を習うべし。」(妙法尼御前御返事)
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世界最大級のケサリア(インドビハール州)仏塔 2018.11.19撮影
