法句経(Dhammapada)とはどんな経典か

 

 法句( ほっくきょう (Dhammapada)(ダンマパダ )は、ブッダの言葉を集めたもので、26章423偈(詩句)で構成されています。Dhammaは、法・真理という意味で、padaは、言葉という意味です。「法句経」は漢訳名で、「Dhammapada」はパーリ語名です。法句経は、西紀前1~2世紀には成立していたと、学者は推定しています。そして、西紀前3世紀に西インドからセイロンに伝えられ、現在まで途絶えることなく伝承され現在に至っております。中国では既に3世紀初めに数名の訳経僧によって漢訳されています。法句経の各国語の翻訳の序文には、「経典中の最後の警句けいく集」「家庭と万人のポケットに常備すべきバイブル」等々と紹介されているようです。

 法句経が何故ブッダの真理の言葉(ブッダの教えを忠実に伝えている言葉)と言われるかといいますと、ブッダに最も近い時期に編纂へんさんされた仏典だからです。教えが素朴で、簡単明瞭であり脚色されていません。時代が下るにつれて、ブッダの教えにいろいろなものが付着し、脚色されたりして、表現が複雑になり、真実が見えにくくなってくるのです。

 ブッダの入滅(ブッダの死)は、中村博士の説では、紀元前383年です(学者の間で諸説があり決定していません)。尚、法句経の編纂は、紀元前1~2世紀頃と推定されています。法華経等の大乗仏典の編纂は凡そ紀元後1~2世紀頃と推定されていますから、法句経はそれよりも3~400年前に編纂されていたことになります。

 ブッダは「人生は苦なり」と説示されました。この経典は、その苦の受け止め方と安らぎへの道を説き示してくれます。どのような心構えでものを見、考え、人生を歩んで行けばよいのか、基本的な指針を示した経典です。

 法句経の中で最も有名な、最も広く愛誦された、日本人に最も馴染なじみの深い句は第183番の偈です。即ち「諸悪莫作しょあくまくさ諸善奉行しょぜんぶぎょう自浄其意じじょうごい是諸仏教ぜしょぶっきょう」です。これは、「もろもろの悪を為さず、もろもろの善を行い、自らその意を浄くする・・・・・・・・・・、これが諸仏の教えである」という意味です。あまりにも粗雑とは思いますが、この一句をもって法句経全体の趣意を察していただければと存じます。詳しくは、第183番の偈の解説に譲りたいと思います。この点ご了承ください。

 なお私事、力量不足ではありますが、今後、[法句経」423偈の中から100偈を選び順次解説してまいります。「法句経」は、中村元博士訳の「ブッダの真理のことば、感興かんきょうのことば」(岩波文庫)を基本テキストとさせていただきました。併せて、法句経の各が説かれた因縁いんねん(理由)を明かした注釈書「仏の真理のことば註」(ダンマパダ・アッタカター)全4巻 及川真介博士訳 春秋社発行を参考にさせていただきました。また、「The Dhammapada」The Sayings of the Buddha(oxford world's classics)も参考にさせていただきました。 

 

 

 

 

  法句経の読み方

 

 「法句経」は、個人個人が自分で読み考え理解し実践して行くことを大切なこととしております。あくまでも自分で考え、自分で実践し、自分で道を開いて行くのが法句経の基本スタンスですから、今後投稿して参ります私の拙い解説は、各自のご理解を助けるための単なるお手伝いに過ぎません。ご愛読していただければ幸甚でございます。合掌  

                                                                                                kenyu.o

 

 

     

     誕生仏(ネパール,ルンビニー)2018.11.21撮影