ごく普通の家庭
仲いいよねと言われるほうが多かった
家を建てるまでは
今は、二人とも疲れ切ってて
専門家の意見を並べても平行線
初めて知った
価値観の違いってこういうことなのかと
冷たい空気が広がる
出口のない迷路
違う
出口はある
でも、彼らが応じない
だから出口はない
子供たちの前で
家のことは話さないつもりだったのに
その日、ふとしたはずみで始めてしまった
急に楽しそうな笑い声をあげて
遊び始めた子どもたち
いつもは兄弟喧嘩してるのに
こんな風にじゃれあうなんてしないのに
私も一緒に遊んだ
笑った
そして、泣いた
前回の打合せはいつもと違う場所だった
ここに座るのはあの日以来
あの頃の風景がフラッシュバックしてくる
暗い気持ちのスイッチが入りそうになる
そっちへの回路を引きちぎって
無理やり平常心につなぎかえる
目の前にいる二人は
当時の担当ではない
一生懸命、どうすればいいか
考えてくれている人たち
繰り返し心の中でつぶやきながら
何も知らない家族が打ち合わせしてる
元気なお子さんの声が聞こえる
どうか
この家族の家が無事に完成しますように
出口のない迷路
突き詰めてしまうと
平行線が離れていくだけ
でも壊すわけにはいかない
子供たちのためにも
私自身のためにも