毛筆体のロゴ「三陸復興」を添えた被災地発の年賀状デザイン案を、岩手県がホームページを通じて無料で提供している。独特の字体のロゴは、ダウン症の書家金沢翔子さん(26)の作品。生来の障害を抱えながら活躍する姿に復興を重ねたいと願う県が頼んだ。
金沢さんは東京都生まれ。書家の母泰子さん(67)が指南し、5歳から書道を始め、19歳で雅号を許された。数々の賞を受け、来年1月放送開始のNHK大河ドラマ「平清盛」の題字を手がける。
母子は6月、仙台での個展を前に、津波被害を受けた宮城県名取市の閖上(ゆり・あげ)地区を訪ねた。がれきの間に真っ赤に咲く花を見つけると、翔子さんは「希望の光だ!」と話した。泰子さんは「その時、必ず復興する日が来ると感じた。ダウン症の翔子を授かった時、私は絶望のふちにいた。でも必ず希望はあり、人生に絶望はありません」。
個展で滞在していた山形県に7月、岩手県沿岸広域振興局の熊谷正和経営企画部長と高橋浩進特命課長(現大槌副町長)が訪ねた。復興のシンボルに使えるロゴを書いてもらう書家を探していた。
快諾した翔子さんが一日かけて、4枚の半紙に、「三」「陸」「復」「興」の4文字を書いた。熊谷さんは「一目見て、力強く、迫力があってすごくいいと思った」と話す。
同振興局が作成し金沢さんの書を採り入れた年賀状の図柄は、陸前高田の一本松や宮古の浄土ケ浜、釜石の仙人峠、久慈のつりがね洞、山田の山田湾などの写真と無地の計8種類。写真図柄には「今年が良い年でありますように」との願いが刷られている。問い合わせは県沿岸広域振興局産業振興課へ。
野田村観光協会でも金沢さんのロゴを利用した年賀状3種類を作成し、ホームページで公開している。
出典:朝日新聞